【ニュース・イギリス】ホライゾン2020への英国の対応

 
2018年3月5日、ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、科学とイノベーションのためのEUの最重要事業であるホライゾン2020について、EU離脱後の英国の関わり方の概要を発表した。これは、昨年12月に公表された英国-EU間の第1段階目の離脱交渉の共同報告書に引き続き、英国の参加志願者の立場の全体像を示すものである。
 
概要の主な点:
共同報告書では“英国のEU離脱後、英国はMEF2014-2020により資金が出ているEUの事業に引き続き参加する”こととされている。
ホライゾン2020も、この文章の対象となるEUの事業に含まれる。
 
英国政府は、英国の研究・イノベーションに関わるコミュニティに対し、ホライゾン2020の研究資金に申請を続け、またホライゾン2020の事業に参加することを、以下の理由により推奨する。

  • EU離脱の時点までは、英国は加盟国であることに伴う全ての権利と義務を備えたEU加盟国である。このことは、英国がEU加盟国である限り、英国側がホライズン2020の事業へ全面的に参加が可能であるということを意味する。
  • 英国及びEUは、共同報告書に示されたとおり、完全に、ホライゾン2020実施期間中の英国側の参加資格に変わりはないとする意向である。このことは、ホライゾン2020の全事業への参加資格と、事業が続く限りにおいてのホライゾン2020からの資金獲得を含む。
  • 共同報告書の合意事項が履行されなかった場合であっても、政府が資金を引き受けるという保証内容はそのままであって変更はない。

 
ホライゾン2020は英国の視点からも、また欧州側にとっても、多くの利益をもたらしてきた。英国は、他の27のEU加盟国にとってトップ5に入る連携相手であり、英国の協力国のトップ5、つまりドイツ、スペイン、イタリア、フランス及びオランダを含む加盟国との38,000を超える協力関係ができている。この事業の全体にわたり、プロジェクトへの参加数との関係では、英国はドイツに次ぐ第2位となっている。英国の研究者・革新的事業者が受けてきた支援額は、現時点で承認済みの金額全体の15%で、合計約40億ユーロとなっている。
 
ホライゾン2020の資金を引き受けるという英国政府の公約により、英国の企業及び大学は更なる保証が得られたことになる。この保証を通じて、英国のEU離脱前に提出された資金獲得の試みは、(離脱後であっても)事業の実施期間中は資金を得ることができる。これは、企業及び大学関係者が、英国がEU加盟国である間に自信をもってホライゾン2020の資金獲得を企図できることを確実なものとしている。
 
(注:共同報告書において、英国は将来の研究・技術開発フレームワーク・プログラム(Framework Programme)も含む2020年以降のEUの予算事業のうちいくつかに参加したいとしているとおり、英国はEUとの間で野心的な科学及びイノベーションの協定を結びたいと宣言している。ただ、今回の概要では、ホライゾン2020(Framework Programme 8)に続く新たな事業(Framework Programme 9)に英国が参加するかどうかを推測するのには時期尚早であるとも述べられている。)
 
MFF2014-2020(多年次財務組み:Multiannual Financial Framework):EUの政策の優先度を十分に考慮した計画性ある予算を組むため、最低5年間にわたって[中略]毎年の予算の上限額を設定するもの。(駐日欧州連合代表部ウェブページより引用)
 
**記事掲載当時の報告書は、その後更新が繰り返されたため既に政府のウェブサイトで見ることができないが、Knowledge Transfer Network社(Innovate UKの協力企業)など外部のウェブサイトで参照することができる。[PDF:780KB]
 

1ユーロ≒130円(2018年3月5日)
 

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