2016年1月6日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE)が、「イングランド高等教育機関における職業博士号の授与について」の報告書を発表した。HEFCEの委託によりCareers Research & Advisory Centreとブライトン大学によってまとめられたもの。
「職業博士号」とは従来の学術研究に特化した「学術博士(PhD)」とは異なり、学術研究において高度な水準を達成するとともに、特定の職業に必要な技術や知識を身に付けることを目的とするもので、ここ5年で取得者が急増している。
主に次の4分野―教育、ビジネス、心理学及び医療・社会福祉で課程が提供されている。
本報告書は同資格に積極的な立場を採っており、科学的根拠に基づいた実践力を備えた人材像を描き出し、雇用主側からみて即戦力となる人材養成の成功例を伝えている。主なポイントは以下の通り:
・雇用主側の要請による資格と誤解されがちであるが、多くの分野で同資格保持者を積極的に雇う傾向は弱く、多くの受講者は雇用主側の資金援助を受けず自ら授業料を払っている。
・同資格の課程はそれぞれ詳細は異なるものの、講義等での学習に続いて研究へと進む2段階制をとるという点では共通している。
・学習の段階には研究に固有のスキルと職業能力の開発を含む、博士レベルの焦点化された研究内容が含まれる。
・資格の「質」については議論の余地があるが、受講者の研究は、学術的であると共に、職業的実践に効果を及ぼすことを期待されている。
・ほとんどの課程で少人数のグループで受講することになるが、受講者によれば、集団での学習は同課程の本質であり、プレッシャーのかかる職業生活と並行して学習を継続し習得力を強化するために、最も励みとなるものである。
報告書は高等教育界全体そして各機関に対し、より戦略的に同資格のあり方を発展させるよう促しており、さらに、研究の重要性と共に職業的実践に対する効果を強調しつつ、職業博士号とPhDの資格を同等に扱うべきであることを再確認している。
イングランド高等教育財政会議(HEFCE):Understanding professional doctorates