【ニュース・イギリス】イングランド高等教育財政会議(HEFCE)が、剰余金の下降傾向が高等教育界の持続可能性にとってのリスクとなる可能性を示唆

2015年11月10日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE)は高等教育界の財政的健全性に関する報告書の中で、イングランドの高等教育機関の収支が高等教育界の質を維持するのに充分でなくなるとの予測を発表した。
今後4年間の予測の最初の2年間で、通常活動からの剰余金(収支のプラス)が全収入の2.5%以下に下降すると予測される。加えて、2015年7月にHEFCEによって発表された£1億5000万の助成金の削減(URL2)の影響は、各機関の予測に十分反映されていない可能性が高い。
最新の予測によると、各機関の収入予測に大きな影響を与える非EU圏留学生からの授業料について、2013学事年度(以下「年度」)の£33億から2017年度には£46億への増収が見込まれている。しかしながら、留学生誘致は下降気味で、他国との競争の激化により、増収見込みは達成できないおそれがある。
報告書によると、収支予測でのわずかな変化も各機関の財政状況に実質的影響を与える可能性があり、例えば公的助成が毎年5%削減されると、2017年度には高等教育界全体で収支がマイナスに転じる。
高等教育機関は、2014年度から2017年度にかけて、£171億(年平均£43億)以上の設備投資を予定している。これは過去4年間と比較して60%以上多い。それにも関わらず、全体の3分の1近くの機関が今後インフラ整備に関する支出を減らす予定であり、機関間の格差拡大を証明している。設備投資のうち、£139億は高等教育界自身の余剰資金もしくは更なる借入れを通じて賄われる予定であり、実行するためには、予測されるレベルを超える剰余金を捻出することが必要となる機関もある。剰余金が増加しない場合、高等教育機関のインフラの質の維持に対するリスクとなり、長期的に見て高等教育界の持続可能性を損なう。

 

イングランド高等教育財政会議(HEFCE): Falling surpluses risk sustainability of higher education sector
学術動向ポータル:イングランド高等教育財政会議(HEFCE)が2014、2015学事年度の教育助成額から£1.5億削減を発表

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