【ニュース・イギリス】イングランド高等教育財政会議(HEFCE)が国内学生の就職/進学状況に関する報告書を発表

 2015年10月1日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE)は、異なった属性の学生間でどのように就職/進学状況が異なるかについて調査した報告書(URL1)を発表した。
 2008学事年度(以下「年度」)にイングランドの高等教育機関で学位を取得したフルタイムの国内学生について、人種、性別、年齢、専攻科目、居住地域、出身校の種類、障害の有無等毎に、卒業後6ヶ月および40ヶ月(3年半)時点での就職/進学状況について調査したもの。
 結論として、卒業後6ヶ月時点で各属性の学生間にあった就職/進学状況における格差は、卒業後40ヶ月時点では、以下のとおり、概ね縮小する傾向が見られた。

・専攻科目ごとの就職/進学率の差は、卒業後一定期間が経過するとほぼ消滅した。例えば、卒業後6ヶ月以内に就職/進学した者の割合は、医・歯科学専攻で最高の99.6%、コンピュータ専攻で最低の82.1%であったが、卒業後40ヶ月時点では、両者の差は6%以内に縮まっていた。
・人種間の就職/進学率の差は、卒業後6ヶ月時点と比べて40ヶ月時点では縮小した。例えば、卒業後6ヶ月時点の就職/進学率は、中国人の78.4%が最低で、最高の白人(91.2%)とは12.8%の開きがあったが、卒業後40ヶ月時点では、この差は0.7%に縮まった。なお、卒業後40ヶ月時点で最低の就職/進学率はアフリカ系黒人の88.1%であった。
・女性の就職/進学率は、卒業後6ヶ月時点で男性より5.1%高いが、卒業後40ヶ月時点では、この差は1.7%になった。
・30歳以上の学生のうち、卒業後6ヶ月以内に、専門的若しくは管理的業務に就いたか進学した者の割合(以下、「専門就職率」)は、全年齢層で最高の76.1%であったが、この数字は卒業後40ヶ月時点でも3.5%しか上がらず、他の年齢層と大差ない数字となった。

 一方で、卒業後6ヶ月時点と40ヶ月時点で、変わらないか拡大した格差もあった。

・最も不利な背景を持つ学生と最も有利な背景を持つ学生の専門就職率の差は、卒業後6ヶ月時点で7.7%の開きがあったが、この差は卒業後40ヶ月時点でもほとんど変わっていなかった。
・人種間の専門就職率の差は、卒業後6ヶ月時点で最大9.3%であったが、卒業後40ヶ月時点で、この差は13.2%まで拡大していた。
・男性の専門就職率は卒業後6ヶ月時点では女性より0.3%だけ高かったが、卒業後40ヶ月時点で、この差は1.9%に拡大した。

なお、OFFA(Office for Fair Access)の反応は「URL3」を参照。
HEFCE report on graduate employment and postgraduate study rates
HEFCEの就職/進学率に関する報告書は、不利な背景を持つ学生にとって、入学してからも就職面でまだ障壁が残っていることを示している。

URL1: http://www.hefce.ac.uk/media/HEFCE,2014/Content/Pubs/2015/201523/HEFCE2015_23.pdf
URL2: http://www.hefce.ac.uk/pubs/year/2015/201523/
URL3: https://www.offa.org.uk/press-releases/hefce-report-on-graduate-employment-and-postgraduate-study-rates-offa-comment/

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の就職
統計、データ 統計・データ