米国科学工学医学アカデミー（National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine）は、特定レベルの栄養・食品の摂取が慢性疾患のリスクを改善するか否かの検証と、慢性疾患のアウトカムに基づく食事摂取基準（dietary reference intakes：DRI）の策定に関する概要を提示した報告書「慢性疾患に基づく食事摂取基準策定のための指針となる原則（Guiding Principles for Developing Dietary Reference Intakes Based on Chronic Disease）」を発表した。

本報告書は、米国及びカナダ政府のDRI運営委員会が後援する作業部会が、2017年に作成した報告書「慢性疾患のエンドポイントを基準とする食事摂取基準オプション～米国・カナダ共同後援作業部会による報告（Options for basing Dietary Reference Intakes（DRIs）on chronic disease endpoints：report from a joint US－／Canadian－sponsored working group）」で提示されたオプションの検証を行ったものである。

DRIは、40種類以上の栄養・食品に関し、推定平均必要量・栄養所要量・適正摂取量・許容上限摂取量を含む摂取基準値を提示するもので、栄養不足及び毒性に基づくDRIは、米国アカデミーが招聘した専門委員会によって策定されてきた。
また、米国成人の半数は、高血圧・冠動脈系心疾患・脳卒中・糖尿病・がんなどといった慢性疾患の少なくとも1つにり患しており、食事が慢性疾患を引き起こす要因となっていることから、栄養介入が状況を改善する可能性があると考えられている。本報告書を作成した委員会は、許容上限摂取量は従来通りに毒性のエンドポイントに基づくものとすることや、慢性疾患だけでなく、従来のアウトカム・栄養不足・毒性などに基づくDRIに関する提案事項も提示している。

なお、本報告書は、以下より閲覧可能。
National Academies Press：GUIDING PRINCIPLES FOR Developing Dietary Reference Intakes Based on Chronic Disease

 
また、米国・カナダ政府共同後援作業部会による報告書は、以下よりダウンロード可能。
American Society for Nutrition：Options for basing Dietary Reference Intakes（DRIs）on chronic disease endpoints：report from a joint US－／Canadian－sponsored working group［PDF：1.14MB］

2017年8月3日

National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine：New Report Recommends Methods and Guiding Principles for Developing Dietary Reference Intakes Based on Chronic Disease