【ニュース・アメリカ】NSF助成受給研究者による性的ハラスメント疑惑、新規則施行後1年間での報告件数は16件(10月28日)

 
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は、NSF助成受給研究者による性的ハラスメント疑惑をNSFに報告することを大学に義務付ける新方針施行から約1年が経過し、過去1年間で16件の報告があったことを明らかにした。

 
新規則は、2018年10月22日以降にNSF助成を受給した研究者のみを対象とし、報告義務のある事件は、大学当局が何らかの措置を取ったものに限定される。これまでに報告のあった事件のうち、13件は2019年9月30日までに報告され、残りの3件は、同10月の最初の3週間で報告を受けており、NSFは、発生率の高さは予想を上回るとしている。

 
新規則施行の責任を担うNSF多様性・包括性局(Office of Diversity and Inclusion)ディレクターのロンダ・デービス(Rhonda Davis)氏によると、大学は、ハラスメント疑惑に関連する大学当局の措置に関してNSFに報告義務はあるものの、疑惑に対する対応は各大学に任せ、NSFによる主任研究員(PI)の助成研究事業からの除外は最終手段であるという。

 
一方、NSF工学局(Engineering Directorate)諮問委員会では、カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)工学部長のグレゴリー・ワシントン(Gregory Washington)氏が、問題となった研究者が多額の研究助成を受給している場合、大学がNSFに報告しない可能性が考えられると発言した他、報告時期を含め、新規則に関して十分に理解していない大学関係者も多数いることから、NSFは、より明確な情報提供をすべきと提言するなど、関係者からの懸念も表明されている。

 
Science: NSF tallies 16 cases of alleged harassment by grantees in first year of new rules

地域 北米
アメリカ
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