米国科学財団(National Science Foundation:NSF)傘下の米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は、女性・マイノリティ・障害者による科学工学(S&E)教育及び職業への参加レベルに関する詳細情報をまとめた報告書「2019年科学工学分野における女性・マイノリティ・障害者(2019 Women, Minorities, and Persons with Disabilities in Science and Engineering (WMPD))」を発表した。
WMPD報告書は、NCSESが2年に1回作成するもので、女性、及び、障害者に加え、「黒人・アフリカ系米国人」「ヒスパニック・ラテン系」「米国先住民・アラスカ先住民」という3つの人種・民族マイノリティグループに重点を置いている。
今回発表された報告書では、①大学在籍状況、②学位取得分野、③就職状況、④職業、という4つのテーマ分野での統計・分析結果が提示されており、これらのグループによるS&E分野への参画は、全体的には増加しているものの、大半の分野において参加者が少ない状態が続いているという。
主な結果は以下の通り。
- 営利大学在籍者の割合が高いグループは、黒人・アフリカ系米国人、ハワイ原住民・太平洋諸島出身者、多人種混血など。
- 公立大学在籍者の割合が高い人種・民族グループは、アジア系、ヒスパニック・ラテン系、米国先住民・アラスカ先住民など。また、私立非営利大学在籍者の割合が高いグループは、白人及び多人種混血。
- 2016年には、心理学(75%)及び生物科学(約50%)分野において、女子学生が全てのレベルで学位取得者の過半数を占める。
- 数学・統計学分野での学士号取得女子学生数は、過去20年間で減少。
- コンピュータ科学分野を見ると、同分野で学位を取得した女子学生数は過去20年間で増加しているものの、他のS&E分野と比較すると、学位取得学生数全体に女性が占める割合は非常に低い。
- 過去20年間で、心理学・社会科学・生物科学分野において学士号を取得した黒人・アフリカ系米国人学生の割合は増加した一方で、数学・統計学分野では減少。
- S&E分野で雇用される就労者の約10%は障害者で、聴覚・視覚・認知能力・歩行・セルフケア・自立生活などに障害を持つ。
- 科学者・エンジニアの給与は、人種・民族グループ間で差があり、アジア系の給与中央値が10万ドルと最高であるのに対し、マイノリティグループの中央値は7万8,000ドル。
なお、本報告書は、「Women, Minorities, and Persons with Disabilities in Science and Engineering」から閲覧・ダウンロード可能。
2019年3月28日
National Science Foundation:2019 Women, Minorities, and Persons with Disabilities Report goes live