【ニュース・アメリカ】NSF、助成受給プロジェクト参加者による性的嫌がらせ行為撲滅のために新方針を発表

 
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は2018年2月8日、NSF助成受給プロジェクトに取り組む研究者による性的嫌がらせ行為(セクシュアルハラスメント)撲滅のために、新たな方針を発表した。
 
新方針の下では、助成受給者による嫌がらせ行為が発覚した場合、研究助成の保留もしくは打ち切りの可能性もあるという。NSFは、助成受給機関に対し、性的嫌がらせ行為が発覚した時期をNSFに通知することを義務付けると共に、調査実施中は、嫌がらせ行為の容疑者に対して休職措置を取ったことを報告することも義務付けている。これは、科学分野において性的嫌がらせが横行しているものの、多くの場合、管理者が放置しているという現状を受けての措置である。
 
NSFのフランス・コルドバ(France Córdova)長官は、今回の措置に関し、NSF助成受給者に対して連邦資金を受給する大学に対して性別による差別を禁止した「高等教育法第9条(Title IX)」への順守を義務付けた2016年の発表を含む、NSFによるこれまでの取り組みを拡大するものとコメントしている。
 
NSFは、これまでも、NSF助成受給機関による「Title IX」順守を監督してきたが、事件発覚は、メディアによる報道に頼ることが多かったという。NSFは、性的嫌がらせ行為への苦情に関し、今後も研究機関主導での調査を継続するとしており、容疑者の休職措置以外に関しては、調査が完了するまでは報告する義務はない。
 
但し、新方針の下では、調査が完了した段階で、NSFは、嫌がらせ行為を行った人物を助成プロジェクトから除外するよう研究機関に義務付けることができるようになった。この他、助成受給機関に対し、嫌がらせ行為のない職場を確保するために、曖昧性のない明確な行動規範を作成することを義務付けている。女性による科学分野への参加拡大に積極的に取り組むイェール大学(Yale University、コネチカット州)天文学・物理学教授のメグ・ユリー氏(Meg Urry)は、NSFが発表した新方針を歓迎している。
 
NSFによる発表は、「Important Notice to Presidents of Universities and Colleges And Heads of Other National Science Foundation Grantee Organizations」(PDF:48.02KB)からダウンロード可能。

 

2018年2月8日
 
Science:NSF requires institutions to report sexual harassment findings
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
人材育成 研究人材の多様性
レポート 海外センター