【ニュース・アメリカ】NSF、「COMPETES」法に定められたRCRトレーニングの実施を大学に再認識させるもOIGは実施状況に関する懸念事項を指摘

米国科学財団(National Science Foundation:NSF)のフランス・コルドバ(France Cordova)長官は2017年8月17日、NSF助成受給を申請する全ての大学に対して「責任ある研究活動(responsible conduct of research:RCR)」に関する適切なトレーニングを学生に受けさせることを義務付けた、2007年成立の「技術・教育・科学における卓越性を有意義に促進するための米国機会創出法(America Creating Opportunities to Meaningfully Promote Excellence in Technology, Education, and Science(COMPETES)Act)」の下での責任をそれぞれの大学が果たすことを再認識させることを目的とした通知を大学宛に送付した。

 

本通知は、RCRトレーニングは大学主導で行われるもので、各大学における具体的なニーズ及び環境に合わせて有効且つ適切なトレーニングを提供することを促している。しかし、大学におけるRCRトレーニングに関しては、NSF監察総監室(Office of Inspector General:OIG)が2017年7月に作成した報告書「NSFの責任ある研究活動要件の大学による実施状況に関するOIG評価(OIG Review of Institutions’ Implementation of NSF’s Responsible Conduct of Research Requirements)」において、①調査対象となったNSF研究助成を受給する大学53校のうち、23%はRCRトレーニング計画を策定していない、②調査対象となった大学のうち、リスク評価を行うというNSFによる提案に従っている大学はない、③RCRトレーニングを実施している大学の約3分の2は短期間オンラインプログラムのみを利用している、④RCRトレーニングを実施する大学の半数は、NSF助成受給研究に参加する前にRCRトレーニングを完了することを学生に義務付けていない、⑤NSFは、RCRトレーニングに関する指標・テンプレートを作成して大学に提供するという議会からの指示を順守していない、などといった懸念事項が指摘されている。

 

なお、NSF長官から大学への通知、及び、NSF OIGによる報告書は、以下よりそれぞれダウンロード可能。
【NSF長官から大学への通知】National Science Foundation:IMPORTANT NOTICE TO PRESIDENTS OF UNIVERSITIES AND COLLEGES AND HEADS OF OTHER NATIONAL SCIENCE FOUNDATION AWARDEE ORGANIZATIONS[PDF:500.24KB]
【NSF OIGによる報告書】National Science Foundation:OIG Review of Institutions’ Implementation of NSF’s Responsible Conduct of Research Requirements[PDF:158.13KB]

 

2017年8月17日

 

Science:NSF reiterates policy on teaching good research habits despite its limitations

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
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