米国人工知能安全保障委員会(NSCAI)は3月1日、連邦議会と大統領に最終報告書を提出した。
本報告書は、研究者・企業幹部・学術界リーダー・国家安全保障専門家など、多様なグループを代表する15人の委員で構成されるNSCAIが過去2年間
をかけて取り組んできたもので、初期報告書が2019年7月、中間報告書が2019年11月と2020年10月に発表されたのに加え、四半期ごとの覚書や
新型コロナウイルス感染症パンデミックに対応した複数の特別報告書などが発表されてきた。
同委員会は、連邦議会、大統領府、連邦行政部や省庁などと密に協力し、国家安全保障に関連する人工知能(AI)分野における米国の優位性を維持
するための総合的且つ長期的な国家的アプローチの策定を目標としている。
本最終報告書では、2025年までに米国がAI利用準備を整えるにあたっての戦略を、「第1部:AI時代における米国の防衛」と「第2部:技術競争に
おける勝利」の2部構成で取りまとめている。
NSCAIが直ちに対処すべき重点事項とする4本柱は以下の通り。なお、同委員会は、これらの4本柱のいずれにおいても重視すべきテーマとして、
①パートナーシップ、②AIの責任ある開発と使用、の2点を特定している。
- リーダーシップ:大統領府に技術競争力委員会(TCC)を立ち上げ、米国の防衛及び技術競争における勝利のために国防総省と情報機関
を体系化。 - 人材:人材が大幅に不足しており、新たな人材育成及び既存のプログラム拡大が必要。また、世界中からの優秀な人材が米国に滞在して
才能を活かせる状況を確保。 - ハードウェア:米国内での半導体製造を再活性化し、中国の2世代先を進む状況の確保が必要。
- イノベーション:米国におけるAI研究への投資の維持・拡大が必要で、2026年までにAI研究開発予算を年間320億ドルとすべき。
なお、本報告書は、こちら からダウンロード可能。
3月1日
National Security Commission on Artificial Intelligence: NSCAI Releases Final Report to Congress and the President
地域 | 北米 |
国 | アメリカ |
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