【ニュース・アメリカ】NSB、科学・工学指標報告書「2022年米国科学工学の現状」を発表

 
米国科学審議会(NSB) は1月18日、大統領及び連邦議会に2年に1回提出することが義務付けられている科学工学指標報告書「2022年米国科学工学の現状」を発表した。これは、世界の科学工学エコシステムに関するデータを分析したもので、最新の本報告書では、米国が、国家・地域間の橋渡しの役割を担う他、人口層・分野・セクター間を繋ぐ重要な中枢にあることを、新型コロナウイルス感染症関連の共同研究における中国・英国等の世界各国との協力などを例に挙げて提示している。

 
NSB の エレン・オチョア会長は、科学工学研究に参加する国家の増加に伴い共同研究がより重要になるとし、米国の存在が、科学工学研究におけるオープン性・透明性・倫理という価値観を強化することになるとコメントした。一方、米国科学財団(NSF)セスラマン・パンチャナサン長官は、本報告書から 米国における科学工学の進歩の加速と強化の必要性が確認されたとコメントしている。同報告書の主な内容は以下の通り。

  • 研究開発(R&D):世界の R&D 支出の27%は米国、23%は中国によるもの。
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  • 基礎研究:米国が基礎研究に対する最大の投資国で、2番目の中国の約3倍。但し、連邦政府助成が占める割合は縮小。
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  • 論文発表:論文発表数は中国が米国を数年前に上回ったものの、引用件数が非常に高い論文は、米国人研究者が関与するものが最多で、中国・欧州連合がこれに続く。
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  • R&D 集約型産業:米国が最大の R&D 集約型サービス提供国で、これらの産業による付加価値生産が世界に占める割合は、2010年の31%から2019年には37%に拡大。但し、R&D 集約型製造業による成果は、2011年に中国が米国を上回り、中国が世界で占める割合は2010年の18%から2019年には31%に拡大。その中で、航空機・医療機器・製薬の3分野においては、米国が現在も世界で最大シェアを維持。また、世界最大の R&D 集約型産業は情報技術サービスで、米国によるシェアが世界最大。
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  • 高等教育:科学・工学関連博士号保有者数は米国が世界最多。2番目は僅差で中国。また、インドの科学・工学関連博士号保有者数が急増。
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  • STEM 関連労働力:STEM 関連労働力は米国の労働力全体の23%。

なお、本報告書は、こちら から閲覧可能。

 
1月18日


National Science Board: U.S. is a keystone of the world’s science and engineering ecosystem


地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
統計、データ 統計・データ