【ニュース・アメリカ】NIH長官と労働長官、公正労働基準法改定に伴うポスドク研究員の給与待遇への影響について執筆

大統領府は5月17日、1週間の就労時間が40時間を超える場合に残業手当を受給する資格のある労働者の条件を定めた公正労働基準法(Fair Labor Standards Act:FLSA)を改訂し、労働省(Department of Labor)が最終的な規則を発表することを明らかにした。改定版FLSAの下では、現行の同法の下で残業手当受給資格のない労働者約420万人が新たに残業手当を保証されることになり、この対象にはポスドク研究員として就労する3万7,000~4万人の若手科学者が含まれることになる。また、残業手当の受給対象とならない年間固定給の管理職・専門職の最低給与は、現行の年間2万3,660ドルから2016年12月1日付で4万7,476ドルに引き上げられる。

 

このFLSA改訂に関し、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のフランシス・コリンズ(Francis S. Collins)長官と労働省のトーマス・ペレズ(Thomas E. Perez)長官は、ポスドク研究員を雇用する大学・病院・研究機関は、これらの研究員の就労時間を記録して残業手当を支給するか、もしくは、年間固定給を最低給与基準以上に引き上げるかのいずれを選択することが必要としており、年間固定給の最低給与基準に賛同・支援する姿勢を、オンラインニュースサイトのハフィントンポスト(Huffington Post)への寄稿において表明した。また、バイオ医学分野で就労するポスドク研究員の初任給は最低でも年収5万ドルとすべきという専門家の意見にも言及している。なお、NIHは、ポスドク研究者に対する助成である「米国研究サービス賞(Ruth L. Kirschstein National Research Service Award:NRSA)」の支給額を、最低給与基準を上回る金額に増額することを決定している。

 

The Huffington Post:Fair Pay for Postdocs: Why We Support New Federal Overtime Rules

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