【ニュース・アメリカ】NIH助成受給研究、特許取得に多大なる間接的影響

ハーバードビジネススクール(Harvard Business School、マサチューセッツ州)に所属する経済学者のダニエル・リー氏(Danielle Li)らは、1980年~2007年の間に国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)からの助成を受給した研究が直接特許に結び付いた事例は全体の8.4%であったが、当該研究論文が後に医薬品・医療機器・医療技術の特許取得に引用されている事例は30.8%であったとの分析結果をまとめた論文を、2017年3月30日付の「サイエンス(Science)」誌で発表した。コンサル会社のTエコノミー・パートナーズ社(TEConomy Partners)で研究ディレクターを務めるマーティー・グルーバー氏(Marty Grueber)は、政治家は学術研究が特許取得や会社創設に結び付いた件数を重視する傾向があるとしているが、リー氏らによる分析結果は、NIH助成受給研究が特許取得及び経済利益全体に大きな間接的影響を与えていることを明らかにするものである。リー氏らは、1980年~2007年の間にNIHが基礎・応用研究に対して支給した助成36万5,000件以上を検証しており、NIH助成1ドルにつき、医薬品売上として1.40ドルが創出されたことも明らかにされている。なお、本報告書は、トランプ大統領が、2018年度NIH予算案において全体の18%に相当する58億ドルの削減を提案し、2017年度予算も12億ドルの削減を要求するという、極めて重要な時期に発表されたことになる。

 

2017年3月30日

 

Nature:NIH research grants yield economic windfall

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
研究支援 研究助成・ファンディング、研究評価