【ニュース・アメリカ】NIH、NIH助成受給研究者の外国との繋がりに関する情報開示を所属大学に要請

 
国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、NIH助成受給者で、NIHに開示されていない外国政府との繋がりがあると考えられる研究者の所属大学に対し、当該教員に関する情報提供を要請する書簡を2019年1月に送付しており、大学側が対応に追われている。
 
これは、連邦政府資金を利用した外国との交流に対する連邦省庁による監督強化を意図した、連邦議会及び国家安全保障関連省庁からの要求にNIHが対応したものと見られる。NIHからの要請の目的は、知的財産流出及び、米国の安全保障を脅かす可能性のある技術移転を阻止することではあるものの、一部の大学は、全ての国際科学協力に水を差す可能性への懸念を表明しており、研究者からも国際共同研究を躊躇する声が聞かれるという。
 
また、NIHから要請を受けた複数の大学では、当該研究者は全て中国系研究者で、出身国との関係を継続する教員を非難するために利用される可能性も危惧されている。大学関係者によると、NIHは、大学77校に書簡を送付したとされているが、NIHがどのように当該研究者リストを作成したかは不明で、開示規則の対象となる外国との繋がり・活動に関しても曖昧な部分が多いという。
 
なお、NIHは、開示されていない外国との繋がりがNIHに悪影響を与える可能性として、

  1. 研究者の時間がNIH助成プロジェクト以外に費やされることによる不利益、
  2. NIH助成が冗長となることによる政府資金の無駄遣い、
  3. 外国から多額の資金提供を受けている場合、NIHのポートフォリオに顕著なひずみが生じる可能性、

の3点を挙げて情報提供を要請している。
 
2019年3月1日
 
Science:NIH letters asking about undisclosed foreign ties rattle U.S. universities
 

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