新型コロナウイルス感染症「COVID-19」検査の数・質・種類を大幅に高めるイニシアティブとして2020年4月に発表された「診断迅速加速
（Rapid Acceleration of Diagnostics：RADx）」の詳細が、7月22日付「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン（New England Journal
of Medicine）」誌に発表された論文「米国における新型コロナウイルス感染症診断検査の迅速な拡大　～NIH RADxイニシアティブ～（Rapid Scaling Up
of Covid-19 Diagnostic Testing in the United States — The NIH RADx Initiative）」で明らかになった。

 
 本論文は、国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）傘下機関である国立生体医学イメージング・生体工学研究所（National
Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering：NIBIB）ディレクターのブルース・トロンバーグ（Bruce J. Tromberg）氏らが
執筆したものである。

 
 これによると、RADxは、簡潔且つ短時間で結果が得られる治療現場での分子診断法の開発・普及を推進する取り組みで、本部をNIHに置き、
保険福祉省（Department of Health and Human Services）衛生担当次官補室（Office of the Assistant Secretary for Health：OASH）、
米国生物医学先端研究開発局（Biomedical Advanced Research and Development Authority：BARDA）、及び、国防総省（Department
of Defense）との協力の下で進められている。

 
 「RADx」は、以下の4つの主要要素で構成され、2020年12月までに、米国内で毎日約600万件の検査を実施することを可能とする見込みとしている。

• RADx技術（RADx Tech）：
  2020年秋までに治療現場で使用する技術の特定・開発促進・拡大・展開を目指す。プロジェクト提案書の15～20％を審査しており、
  その中の約3分の1が、NIHの治療現場技術研究ネットワーク（Point-of-care Technology Research Network：POCTRN）を通して
  フェーズ1の検査・検証を実施。
• RADx先進技術プラットフォーム（RADx Advanced Technology Platforms：RADx-ATP）：
  許容量の即時且つ顕著な増加が可能な先進技術の拡大を支援。全米で「メガラボ（mega-labs）」を拡大し、1日10万件から25万件
  への検査件数の増加を目指す。
• RADx革新（RADx Radical：RADx-rad）：
  非従来型の検査アプローチに重点。
• RADx 不利な立場にある人々（RADx Underserved Populations：RADx-UP）：
  医療サービスを十分に受けられていない人々に対する検査を増やすため、コミュニティ関与型のプロジェクトを立ち上げ。

 
 なお、本論文は、こちらから閲覧可能。
 
7月22日
 

National Institutes of Health：　NIH leadership details unprecedented initiative to ramp up testing technologies for COVID-19