【ニュース・アメリカ】NIH、オピオイド乱用による公衆衛生危機拡大阻止のための解決策促進を目的としたHEALイニシアティブを立ち上げ

 
国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のフランシス・コリンズ(Francis S. Collins)長官は2018年4月4日、2018年米国処方箋薬乱用・ヘロインサミット(2018 National Rx Drug Abuse and Heroin Summit)において、鎮痛剤「オピオイド(opioid)」乱用による公衆衛生危機拡大を阻止するための科学的解決策促進を目的とした省庁間での積極的取り組みとなる「長期的依存終了支援(Helping to End Addiction Long-term:HEAL)」イニシアティブの立ち上げを発表した。
 
NIHは、本イニシアティブに取り組むために、オピオイドの誤用・依存に関する研究資金を、2016年度の約6億ドルから、2018年度には11億ドルに増額している。コリンズ長官は、オピオイドの過剰摂取によって毎日115人以上の米国人が死亡しており、2000年と比較すると4倍になっていることを指摘し、1年間をかけて、オピオイドの過剰処方を抑える手段、オピオイド以外の有効な疼痛治療法の開発促進、オピオイド依存の治療に対するより柔軟性あるオプションの提供などを中心に討議を進めてきたことを明らかにした。
 
HEALイニシアティブでは、「疼痛管理の強化による依存の予防」と「オピオイド誤用障害・依存のための治療改善」を2本柱とし、以下に取り組むことになる。

  • 急性疼痛から慢性疼痛に移行する可能性の高い個人を予測するバイオマーカー特定を目的とした、急性筋骨格痛発症後及び手術後の患者の長期追跡研究。
  • NIHのBRAINイニシアティブ及び「症状改善のための末梢活動刺激(Stimulating Peripheral Activity to Relieve Conditions:SPARC)」プログラムを通して開発された革新的画像撮影およびオミクス神経技術の活用。
  • 患者にオピオイド誤用・依存リスクを与える要因に関する理解の向上。
  • 特定の疼痛に対する医薬品以外の治療及び統合治療を使用した疼痛管理のベストプラクティスの定義付けと支援。
  • 依存性のない鎮痛薬開発を目的とした官民パートナーシップの追求。
  • 複数の合成物の有効性試験を同時に実施できるような臨床試験ネットワークの構築。
  • 依存症治療のための治療オプションの拡大。
  • 新生児オピオイド離脱症候群の治療法及び長期的影響の検証。
  • 複数の依存予防・治療オプション統合の試験を行うために、連邦・州政府のパートナーと協力した実証プロジェクトの実施。

 
2018年4月4日
 
National Institutes of Health:NIH launches HEAL Initiative, doubles funding to accelerate scientific solutions to stem national opioid epidemic
 

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