国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)傘下の国立がん研究所(National Cancer Institute:NCI)は、がんの発見・治療目的でのナノテクノロジー研究に重点的に取り組んできた「がんナノテクノロジー(Center of Cancer Nanotechnology Excellence:CCNE)」に対し、2020年度から資金提供を打ち切ることを明らかにした。
これは、ナノテクノロジーが新興分野からより成熟した分野へと進化したことによる自然な移行ではあるものの、CCNEを主導するナノテクノロジー専門家らにとっては厳しい決定となった。新薬及び薬物送達開発にあたり化学・物理学・細胞生物学・患者ケアなどの学際的なアプローチを必要とするがん研究において、ナノテクノロジーに対する期待は高く、CCNEにおける取り組みは理想的とする声もある。
NCIは、2005年に5年間のプロジェクトとして最初に8つのCCNEを立ち上げ、2010年には第2フェーズとして9組織、フェーズ3の2015年には6組織をそれぞれ立ち上げ、CCNEプログラムに対して15年間で総額約3億3,000万ドルを拠出している。NCIは、今後はR01研究プロジェクト助成システムなどを通して、ナノテクノロジー研究に対する支援を継続するとしている。
2019年5月17日
Science:U.S. cancer institute cancels nanotech research centers