米国医学アカデミー（National Academy of Medicine：NAM）は、ニーズの高い患者のためのケアモデルに関して行われたワークショップにおける講演・討論及び科学文献の内容をまとめた特別報告書「ニーズの高い患者に対する有効なケア（Effective Care for High－Need Patients）」を発表した。

これによると、米国政府による医療費支出の約半分は、患者全体のうち約5％に対して拠出されており、医療アウトカムを向上させながら医療ケアでの支出を削減するためには、これらのニーズの高い患者を特定し、医療・行動・コミュニティに関するリソースを統合したケアモデルを通した、調整の取れたサービスを提供することが必要になるという。

また、ケアの改善方法を決定するための第1段階は、ニーズの高い患者の特徴を理解することであるものの、特徴の定義に対する共通理解はあまり進んでいないことを指摘している。人口統計学的には、これらの患者は高齢者及び低学歴者の割合が非常に高く、政府が提供する保険に加入し、健康状態の自己申告は低～中程度で、医療ケアシステム内での調整の欠陥の影響を受けている可能性が高いことが判明している。
さらに同報告書は、ニーズの高い患者が必要とするケアサービスと財務的インセンティブとの間での調整不足、医療システムの分散、及び、人材育成問題などを含む、有効なケアモデルの拡散及び持続性に対する障壁が多数存在することにも触れ、それらの障壁に対応するための戦略にも言及している。

なお、本報告書は、以下よりダウンロード可能。
NATIONAL ACADEMY OF MEDICINE：EFFECTIVE CARE FOR HIGH－NEED PATIENTS［PDF：3.13MB］

2017年7月6日

National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine：New National Academy of Medicine Special Publication Offers Opportunities for Improving Outcomes and Reducing Costs in the Treatment of ‘High－Needs Patients’－Those Who Make Up 5 Percent of All Patients but Account for Nearly Half of All Health Care Spending