【ニュース・アメリカ】HHMI、2022年1月以降は所属科学者が主導的立場にある研究論文を直ちに無料閲覧可能とすることを義務付け

 
ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)は10月1日、所属科学者に対し、2022年1月以降は自身が主導的立場にある研究論文を直ちに無料閲覧
可能とすることを義務付けるという新方針を発表した。HHMIの現行規則では、新たに発表する論文を発表後12カ月以内にオープンアクセス化
することが義務付けられている。この新方針施行後は、「セル」「ネイチャー」「サイエンス」などといった定期購読者のみがアクセス可能
な権威ある学術誌において、HHMI所属科学者が執筆した論文の発表ができなくなる可能性がある。

 
 HHMI職員約4,700人には、全米に所在する研究機関で研究活動を行う研究者256人やポスドク研究員約1,700人が含まれることから、学術誌に
与える影響も大きいとみられる。但し、これら有料学術誌がオープンアクセス化の動きに加わる場合、HHMI研究者による論文を掲載できる可能性
もあるとしている。HHMIは、2019年に生物医学研究費7億6,300万ドルを支出しているが、HHMI所長のエリン・オシア 氏は、同研究所のように
米国連邦政府の科学関連省庁から資金を受給する研究機関は、研究の再現とそれに基づくさらなる発展を可能とするため情報を迅速に発信すること
が重要とし、現行規則で定められている論文発表後12カ月以内での無料公開義務付けでは、発見プロセスの迅速化に貢献しないとコメントした。

 
 新方針対象となるのは、HHMI所属科学者が第一著者・最終著者・責任著者を務める論文で、著者は、ピアレビュー済みのほぼ最終稿に近い論文
を無料公開アーカイブに保存することになる。なお、HHMIの方針及び戦略は、2018年に立ち上げられた定期購読型学術誌をオープンアクセス誌
に転換するキャンペーン「S連合」とよく似たもので、HHMIは、慈善団体のウェルカムトラスト 及び ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団
ともに、10月1日付で「S連合」に加入した。
 
10月1日
 


Science: HHMI, one of the largest research philanthropies, will require immediate open access to papers

地域 西欧、北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
統計、データ 統計・データ