2018年6月1日、政府説明責任局（Government Accountability Office：GAO）は米国科学財団（National Science Foundation：NSF）の主要研究機器・施設建設（Major Research Equipment and Facilities Construction）費用として資金が拠出されるプロジェクトを検証した報告書「米国科学財団～コスト・スケジュール策定に関する改訂政策は大規模施設の見積りを改善する可能性あり～（National Science Foundation：Revised Policies on Developing Costs and Schedules Could Improve Estimates for Large Facilities）」を発表した。

GAOは、NSFの手続きとGAOのコスト・スケジュール指針のベストプラクティスとの比較、コスト超過管理に関するNSF政策の対象となるプロジェクト7件に関する文書の分析、及び、NSF職員との面談などを通して、
①NSFによる大規模施設の建設コスト・スケジュールの見積り手続きがベストプラクティスを満たす程度の検証と、
②コスト超過管理政策施行後の大規模施設プロジェクトの建設コスト・スケジュールに関する成果の検証を行った。

その結果、①に関しては、コスト見積りはベストプラクティス12件中7件を充足する一方で、スケジュール策定に関しては、ベストプラクティス10件中6件を充足していないことが判明した。また、②に関しては、コスト超過管理に関するNSF政策の対象となるプロジェクト7件中5件は建設開始後にコスト超過もしくはスケジュール遅延が見られることが明らかにされ、特に、米国生態系観測ネットワーク（National Ecological Observatory Network）とダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡（Daniel K. Inouye Solar Telescope）の2件は、許可の問題でプロジェクト提案時に見積もりが立てられなかったことが一因となり、コスト・スケジュール共に超過していることが明らかになった。これらの結果を受け、GAOはNSFに対し、GAOのコスト・スケジュール指針のベストプラクティス導入を進めるために、NSFの大規模施設プロジェクトのコスト・スケジュール見積もり・評価に関する政策を改定することを提案しており、NSFはこれに同意している。

Government Accountability Office：Science Foundation：Revised Policies on Developing Costs and Schedules Could Improve Estimates for Large Facilities（報告書PDFあり）