【ニュース・アメリカ】GAO、連邦学資ローンの「収入に基づく返済」計画の予算見積もりを検証した報告書を公開

政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は2016年11月30日、教育省(Department of Education)が進める連邦学資ローンの「収入に基づく返済(Income-Driven Repayment:IDR)」計画の予算見積もり及び見積もり手段を検証し、2016年11月15日に発表した報告書「連邦学資ローン ~教育省は収入に基づく返済計画の予算見積もりの改善が必要~(Federal Student Loans: Education Needs to Improve Its Income-Driven Repayment Plan Budget Estimates)」を一般公開した。2016年6月現在、IDR計画利用者は学資ローン返済者全体の24%を占め、2013年6月の10%から大幅に増加しているが、本報告書は、①現在のIDR計画予算見積もり及び、時間の経過に伴う見積もり額の変化と、②教育省による費用見積もりと信頼性ある見積もりを確保するための品質管理のためのアプローチを検証している。GAOは、本報告書作成のために、1995年度~2015年度の連邦直接ローン(Direct Loans)及び2016年度と2017年度の予算見積もりを対象とした予算データの分析、IDR計画費用の見積もりに使用された教育省のコンピュータ・コードの分析・試験、教育省による見積もりアプローチに関連する文書の検証、教育省及びその他の連邦省庁職員との面接などを行った。その結果、①に関しては、2017年度予算において、教育省はIDR計画の下で返済される連邦直接ローンに対する政府のコストを740億ドルと見積もっており、当初の予算見積もりを上回ることが明らかになった。また、現在のIDR計画予算見積もりは、2009年度~2016年度に利用されるローンを対象とした元々の予算の2倍以上と予測されており、これはIDR計画の下で返済されるローン額の増加が主要な原因と分析されている。また、②に関しては、教育省によるアプローチは、信頼ある予算見積もりを確保するものではなく、予算超過・未消化が数十億ドル単位となった一因と考えられることが明らかにされた。これらの調査結果を受けて、GAOは、IDR計画予算見積もりの質を改善するために、教育省に対して提案事項6項目を提示した。これら6項目には、インフレに応じたローン利用者の収入予測の調整、計画されたモデルの修正完了とIDR計画参加傾向の合理的予測のために利用可能であることの確認、重要な前提の試験などが含まれる。教育省は、GAOによる提案に全般的に合意しており、対策を講じている。

 

Government Accountability Office:Federal Student Loans:Education Needs to Improve Its Income-Driven Repayment Plan Budget Estimates

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