【ニュース・アメリカ】GAO、気候耐性プロジェクトの優先順位付け及び予算割当に関する連邦政府アプローチを検証

 
 政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は11月22日、気候リスクに対応する気候耐性プロジェクトの優先順位付け及び予算割当を行う連邦政府によるアプローチを検証した報告書「気候耐性 ~優先度の高いプロジェクトに対する戦略的投資アプローチによって連邦リソースの有効利用を支援する可能性あり~(Climate Resilience: A Strategic Investment Approach for High-Priority Projects Could Help Target Federal Resources)」を一般に公開した。

 
 GAOは、本報告書で、①気候耐性プロジェクトへの投資に対し、連邦政府が戦略的アプローチを採用する程度、②戦略的に投資プロジェクトの優先順位付けをする機会を提供する主要なステップ、③これらのプロジェクトに対する連邦資金投入を重視するオプションの長所・短所、の3点を検証した。

 
 その結果、①に関しては、連邦政府は気候耐性強化プロジェクトに投資しているものの、優先度の高いプロジェクトに投資を誘導するための戦略的アプローチを行っていないことが判明した。また、2019年8月時点で、GAOが提示した気候耐性に関する連邦戦略計画を改善するための提案事項17項目のうち、14項目に関しては実行に向けた行動がとられていないことが明らかになった。

 
 さらに、②に関しては、GAOの過去の調査などに基づいた、連邦政府が戦略的に気候耐性プロジェクト投資の特定・優先順位付けを行うための主要な6つのステップが提示されているが、これらのステップを踏襲した事例は、ルイジアナ州沿岸保護・復旧局(Coastal Protection and Restoration Authority:CPRA)による沿岸マスター計画と、カナダの災害軽減適応基金(Disaster Mitigation and Adaptation Fund:DMAF)の2件のみであった。

 
 一方、③に関しては、優先度の高い気候耐性プロジェクトへの連邦投資を重視するために、
 

 GAOは、1)様々な目的の下での既存の複数プログラムを通して提供された資金の調整、2)気候耐性への投資のための新規連邦資金源の創出、という2つのオプションを特定したが、
 

 1)では、複数の資金源にアクセス可能であるという長所と、運営管理面で専任職員を配置する必要性が生じるという短所が挙げられた。2)については、インフラ、住居、交通輸送、衛生など、気候変動によるリスクの影響を受ける可能性のある複数のセクタに利益をもたらすように考案されたセクタ横断プロジェクトを奨励する可能性があるという長所と、新規連邦資金源創出のためには議会の承認を必要とするという短所を指摘している。

 
 この結果、GAOは、議会に対し、連邦投資を行う気候耐性プロジェクトの特定・優先順位付けを定期的に行うための組織立ち上げを検討すべきと提案している。

 
なお、本報告書は、こちらからダウンロード可能。

 
Government Accountability Office, Climate Resilience:
A Strategic Investment Approach for High-Priority Projects Could Help Target Federal Resources

 
11月22日

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
大学・研究機関の基本的役割 研究