【ニュース・アメリカ】GAO、教育省による大学の財務状況監督の現状を検証

政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は、教育省(Department of Education)による高等教育機関の財務状況に対する監督の現状を検証して2017年8月に連邦議会に提出した報告書「高等教育~教育省は大学の財務状況監督における管理とコミュニケーションギャップに対応すべき~(Higher Education:Education Should Address Oversight and Communication Gaps in Its Monitoring of the Financial Condition of Schools)」を2017年9月20日に公表した。

 

GAOは、2010~11学年度以降の大学閉鎖及び財務状況に関する教育省データを分析し、連邦法・規則・指針の検証し、会計基準及び業界による実践を見直し、さらには、教育省職員・大学財務専門家・大学管理者との面接などを通して、①教育省による大学の財務状況監督手段、②閉鎖リスクのある大学の特定における教育省による監督の有効度、③財務状況監督に関し、教育省から大学・一般への情報提供状況、を検証した。

 

その結果、①に関しては、
連邦学資援助プログラムに参加する大学の年次監査の検証及び大学による財務責任基準への準拠の評価を行い、基準を満たしていない大学に対しては監督を強化しており、2014~15学年度では、同プログラムに参加する大学約6,000校中約450校が、教育省が算出する総合得点において基準以下であったことが明らかにされた。
また、基準以下の大学からは、大学閉鎖や影響を受けた学生のローン返済免除が生じた際に連邦資金負担を支援するために、信用状を通して財政保証を確保していることが明らかになった。特定の大規模大学や多数の大学を運営する民間企業に関しては、より頻繁な監督や報告義務の付加などといった措置を取っている。

 

一方、②に関しては、
教育省が算出する総合得点が、リスクのある大学特定の妨げとなっており、2010~11学年度以降では、同得点によるリスクのある大学の予測精度は50%のみであることが判明した。GAOは、同得点に基づく判断の制限として、(1)会計の変更、(2)現状にそぐわない財務状況評価基準の利用、(3)大学による操作に対する脆弱性、の3点を挙げた。

 

最後に、③に関しては、
教育省は、大学の財務状況監督や、その結果の一般への完全情報公開に関し、十分に説明ができていないことが明らかにされ、総合得点の算出方法に関しても、70%の大学は困惑していることが判明した。さらには、一般に公表された総合得点の最新情報では、対象となる大学の17%がリストから漏れていることが明らかになった。

 

これらの結果を受け、GAOは教育省に対し、1)財務総合得点の最新化、2)大学に対する総合得点算出方法に関する説明改善、3)全大学の総合得点の一般への公表、の3点を提案した。教育省は、2)には同意したが、1)には同意せず、また、3)に関してはさらに検証すると回答している。

 

2017年9月20日

 

Government Accountability Office:Higher Education:Education Should Address Oversight and Communication Gaps in Its Monitoring of the Financial Condition of Schools(報告書PDFあり)

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アメリカ
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