【ニュース・アメリカ】GAO、大学編入に関する更なる情報を学生・家族に提供することを教育省に提案

政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は、大学編入手続きの現状を検証して2017年8月14日に連邦議会に提出した報告書「高等教育~大学での単位移行に伴う問題縮小のために学生は更なる情報が必要~(Higher Education:Students Need More Information to Help Reduce Challenges in Transferring College Credits)」を9月13日に公表した。

 

GAOは、①編入率と単位移行において学生が直面する問題、②編入に伴う金銭的影響、③大学進学計画を支援する編入情報が学生に提供される度合い、の3点を調査するために、教育省(Department of Education)のデータ分析、大学25校からのステークホルダーとの面接、及び、大学214校のウェブサイトの検証などを行った。

 

その結果、①に関しては、2004年~2009年の間に大学生の約35%が少なくとも1回は他大学に編入し、その62%は公立大学間で編入しているが、学生は、単位移行に関する情報や助言を受ける上で問題に直面したことが明らかにされた。また、ステークホルダーは、州全体での方針や明確な取り決めがないことにより学生が問題に直面することや、編入手続きを進める上での助言や情報が不十分であることを指摘した。

 

一方、②に関しては、編入に伴う金銭的影響は、編入によって喪失する取得単位数によることが明らかにされ、2004年~2009年の間に他大学に編入した学生の43%は、編入前に取得した単位を喪失すると推測されることが明らかにされた。単位を喪失する割合は編入する大学の種類によっても異なり、例えば、公立大学間で編入する場合、単位を喪失する割合は37%と推測されるのに対し、全体の4%を占める営利大学から公立大学に編入した学生の場合は、94%の取得単位を喪失すると推測されることが明らかになった。編入は、大学の手の届きやすさに大きな影響を与えており、喪失した単位の再履修のために、ペルグラント(Pell Grant)や連邦直接学資ローン(Federal Direct Loan)などといった連邦学資援助が同一単位取得のために重複して使用されたり、学生・家族の金銭的負担を大きくしたりすることも明らかにされた。

 

さらに、③に関しては、大学のウェブサイトには編入方針を記載することが教育省から義務付けられ、ほぼ全大学がこれに準拠しているものと推測されるが、GAOが調査したウェブサイトの29%には、単位移行に関する明確な協定を締結している大学のリストが含まれていなかったという。また、教育省においても、学生及び家族に対して編入に関する十分な情報を提供していないことが明らかにされた。

 

これらの結果を受け、GAOは教育省に対し、(1)大学ウェブサイトに単位移行に関する協定を締結している大学リストを掲載、(2)提携大学がない場合、学生及び家族に対する一般的な編入情報を大学ウェブサイトに掲載、の2点を提案事項として提示した。これに対し、教育省は(1)には同意せず、(2)には同意している。

 

2017年9月13日

 

Government Accountability Office:Higher Education:Students Need More Information to Help Reduce Challenges in Transferring College Credits(報告書PDFあり)

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