2018年6月19日、政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は国立研究所で開発された発明に基づく特許ライセンシングに関し、省庁による管理の現状を検証した報告書「連邦研究~研究所における発見に基づく特許のライセンシングを改善する更なる措置が必要~(Federal Research:Additional Actions Needed to Improve Licensing of Patented Laboratory Inventions)」を発表した。
GAOは、関連する文献・法律・省庁文書の調査や、省庁職員及びステークホルダーとの面談などを通して、国防総省(Department of Defense:DOD)、エネルギー省(Department of Energy:DOE)、米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)における、①特許ライセンシングにおける問題とその対応・報告のための措置、②特許ライセンシングの金銭的条件を決定するための情報、の2点を検証した。
その結果、①に関しては、
1) | 研究者による特許取得の可能性のある発見の特定、 |
2) | 研究所で創出された開発成果を追跡する内部システムの欠如、 |
3) | 特許を付与された発明のライセンシングに長期間を要することを企業が敬遠 |
などが問題として挙げられ、問題への対応策として、手続き促進のために研究所全体でのモデルライセンス契約モデルの導入などが行われていることが明らかにされた。また、商務省(Department of Commerce)の米国標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology:NIST)が、連邦政府全体における特許ライセンシングを含む技術移転活動に関する年次報告書の作成・報告を行っているが、問題点が完全には報告されていないことが明らかになった。
一方、②に関しては、連邦省庁及び研究所は特許ライセンシングにおける金銭的条件を決めるための情報が限られ、省庁間協力においてはNISTが省庁支援において最良の働きをしていることが判明した。
GAOは、これらの結果に基づき、NISTに対して特許ライセンシング関連の問題事項を完全に年次報告書に含めるよう提言するなど、合計7項目の提案事項を関連省庁に対して提示している。
Government Accountability Office:Federal Research:Additional Actions Needed to Improve Licensing of Patented Laboratory Inventions(報告書PDFあり)