【ニュース・アメリカ】GAO、国務省・商務省に対し、機密性の高い知識の流出を阻止する米国大学による取り組みへの支援強化を提案

 
 政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は5月12日、留学生及び外国人研究者を通した機密性の高い知識の流出を
阻止するための米国大学による取り組みを検証した報告書「輸出規制 ~国務省及び商務省は大学に特化したコンプライアンス問題に
対処するために指導・アウトリーチを改善すべき~(Export Controls: State and Commerce Should Improve Guidance and
Outreach to Address University-Specific Compliance Issues)」を発表した。
 
本報告書は、以下を検証している。
 
 ① 国務省(Department of State)及び商務省(Department of Commerce)が、米国大学による輸出規制規則の理解を支援する
   指導・アウトリーチを提供する度合い
 ② 米国大学が国防総省(Department of Defense)などを含む他省庁と協力する際に直面する問題点
 ③ 大学による輸出コンプライアンスの実践が国務省・商務省による指導に準拠する程度
 

その結果、①に関しては、国務省と商務省は、いずれも、それぞれの輸出規制規則の理解を支援するための指導・アウトリーチを輸出者に
対して提供しているものの、大学及び大学関連協会は、両省による指導・アウトリーチが、大学特有の輸出コンプライアンス問題には
適用しづらいものであることへの懸念を表明しており、これらの問題に対処する指導・アウトリーチを行なわなければ、規則への準拠や、
輸出規制対象品目の適切な保護ができない可能性があることが判明した。

 
また、②に関しては、大学及び大学関連協会代表者は、輸出規制関連問題として挙げている。
 

 1) 国防総省担当者が「基礎研究」の意味を誤解し、国防総省のために大学が研究を行う能力を制限する可能性あり
 2) 連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation:FBI)及び国土安全保障省(Department of Homeland Security)による指導は
   非機密情報に関するものを含まないため有用性が低い、

 
 一方、③に関しては、GAOが訪問した大学9校中7校の輸出コンプライアンス方針及び実践は、国務省・商務省の輸出コンプライアンス指針に
一致するものであったものの、一部の大学では、「リスク評価」「訓練」「内部監査」「輸出コンプライアンスマニュアル」の4領域において
指針との間にギャップがあることが判明した。これらの結果を受け、GAOは、国務省・商務省に対する輸出規制指導・アウトリーチの改善提案、
国防総省に対する輸出規制規則の解釈に関する一貫性確保の提案を含む4項目を提案しており、いずれの省庁も提案事項に同意している。
 
なお、本報告書は、こちらからダウンロード可能。
 
5月12日
 


Government Accountability Office: 
Export Controls: State and Commerce Should Improve Guidance and Outreach to Address University-Specific Compliance Issues

地域 北米
アメリカ
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