【ニュース・アメリカ】GAO、営利大学の非営利大学への転換に伴うリスクを検証

 
政府説明責任局(GAO)は1月27日、営利大学の非営利大学への転換に関し、大学売買取引に関連する内部関係者の関与状況と、内国歳入庁(IRS)
及び教育省による監督状況を検証した報告書「高等教育 ~IRSと教育省は、一部の営利大学転換に関連するリスク対応を改善すべき~」を一般公開
した。

 
GAO は、2011年1月~2020年8月に非営利大学への転換が申請された営利大学59校を検証し、そのうち大学5校について情報収集及び監査済み
財務諸表の検証を行い、さらにその中の3件に関して、教育省の事件簿の検証も行った。

 
その結果、検証した営利大学59校の約3分の1において、売却される営利大学所有者もしくは役員が売却先の大学組織でも学長などの重要な役職
に就くなど、非営利大学に転換後も内部関係者としての立場を維持していたことが判明した。

 
また、新組織となった非営利大学は、IRSから非課税組織として許可され、教育省から非営利大学として連邦学資援助プログラムへの参加許可
を得ることが必要となるが、これら59校に関しては、教育省は35校を非営利大学として許可、2校の申請を却下、9校は審査中、13校は審査結果
が出る前に閉鎖との結果であった。

 
監督状況に関しては、IRS は、今回の対象となった内部関係者が関与する取引11件のうち、2件においては大学購入予定価格や評価報告書など
の情報がないまま許可していたことが明らかになった。

 
一方、教育省による監督に関しては、GAO が詳細調査を行った3件のうち2件において、内部関係者が不当な利益を受けるリスクが判明し、教育省
が監査済み財務諸表を評価する手続きを作成・実行しない限り、今後も不当な利益の発生が検知されない可能性があることが指摘された。

 
これらの結果を受けて、GAO は、IRS による非営利大学への転換申請審査の検証・改善と、教育省による新たに非営利大学に転換した大学の
監督手続きの作成・実行を含め、提案事項3点を提示した。これに対し、IRSは、審査手続き及びその他のGAOからの提案事項を検証するとし、
教育省はGAO からの提案に同意した。

 
なお、本報告書は、こちら からダウンロード可能。

 
1月27日


Government Accountability Office: 
HIGHER EDUCATION:IRS and Education Could Better Address Risks Associated with Some For-Profit College Conversions


地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
統計、データ 統計・データ