【ニュース・アメリカ】GAO、卒業生による連邦学資ローン返済滞納を防止するための大学の戦略を検証

 
政府責任説明局(Government Accountability Office:GAO)は2018年4月26日、卒業生による連邦学資ローン返済滞納を防止するための大学の戦略を検証した報告書「連邦学資ローン ~大学による返済滞納率の監督改善のための対策が必要~(Federal Student Loans: Actions Needed to Improve Oversight of Schools’ Default Rates)」を発表した。
 
本報告書は、2009年~2013年に返済が開始された学資ローンに関する教育省(Department of Education)のデータ分析、教育省の文書及び返済滞納管理コンサルタント9機関のサンプルの検証、関連法・規則の検証、教育省職員との面接などを通して、①大学による返済滞納率管理戦略と、その戦略がローン利用者及び大学による返済滞納への説明責任に与える影響、及び、②大学の返済滞納率管理のために大学及び返済滞納管理コンサルタントが使用する戦略を教育省が監督する程度、の2点を検証した。
 
その結果、①に関しては、学資ローン返済開始後、最初の3年間の返済滞納率が大学による連邦学資援助プログラム参加資格に影響することから、一部の大学は、返済滞納者に短期間の返済遅延措置を勧めるためにコンサルタントと契約することがあるが、調査対象として選出されたコンサルタント9機関のうち、5機関は、収入に応じた返済計画などを含む、より有効な滞納回避のためのオプションよりも、返済遅延措置を優先して勧めていることが明らかになった。また、4機関は、返済オプションに関して不正確もしくは不完全な情報を提供していたことが判明した。
 
さらに、2013年に返済を開始したローン利用者の68%は、返済開始後最初の3年間に何らかの返済遅延措置を取っており、そのうち20%は遅延期間が18カ月以上で、遅延措置の期間が長いほど、大学による返済遅延の説明責任がなくなる4年目の返済滞納率が高くなることが明らかにされ、大学による返済滞納に対する説明責任を強化する法改正の必要性が示唆された。
 
一方、②に関しては、教育省による大学及びコンサルタントの返済滞納率管理戦略監督機能には制限があり、教育省は、戦略計画をローン利用者の保護を目的とするものとしながら、大学やコンサルタントに対して正確且つ完全な情報提供を義務付ける明確な法的権利は保有しておらず、その結果、ローン利用者に対して必ずしも正確且つ完全な情報が提供されている訳ではないことが判明した。この他、教育省は、高返済滞納率で制裁を受けた大学の数を報告しないため、透明性にも問題があることが明らかになった。
 
これらの結果を受け、GAOは、教育省に対し、返済滞納率の制裁に関する報告の透明性を改善するよう提案した。また、議会に対しても、大学による説明責任強化と、ローン利用者に提供するローン返済・返済遅延措置のオプションに関する正確且つ完全な情報提供を大学及びコンサルタントに義務付けることを検討すべきとした。
 
なお、本報告書は、「FEDERAL STUDENT LOANS – Actions Needed to Improve Oversight of Schools’ Default Rates」(PDF:2.8MB)からダウンロード可能。

 

2018年4月26日
 
Government Accountability Office:Federal Student Loans: Actions Needed to Improve Oversight of Schools’ Default Rates

 

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