【ニュース・アメリカ】GAO、中国で開設された米国大学において教員・学生・職員が直面する問題を調査した報告書を発表

政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は2016年9月28日、中国にキャンパスを保有する米国大学において教員・学生・職員が直面する問題を調査し、8月に作成した報告書「中国 ~中国内の米国大学は学問の自由を強調するがインターネット検閲などの問題に直面(China: U.S. Universities in China Emphasize Academic Freedom but Face Internet Censorship and Other Challenges)」を一般に公開した。本報告書は、①中国内で運営する米国大学に提供される資金及びその他の支援、②米国大学と中国パートナーとの間での契約における学問を含む主要な自由に対する取扱い、③中国内の米国大学の教員・学生・職員による学問を含む主要な自由に関する体験、を検証したもので、GAOは、中国大学とのパートナーシップの下で中国に学位取得が可能な大学を開設した米国大学12校の調査を行った。その結果、①に関しては、主に中国政府から支援を受けており、米国政府機関及びその他の寄付者からの資金提供は限られていることが明らかになった。具体的には、大学キャンパス用の土地、校舎建築、大学施設の利用などが、中国の省・地方政府及びパートナー大学から提供されおり、調査した大学のほぼ全てが予算は黒字もしくは収支均等としている。また、②に関しては、契約書の中には、学問の自由の保護や、中国に開設された大学も米国基準に則ったものとなることを示唆する文言が含まれていることが明らかになった。GAOが調査した大学の約半数は、教員及び学生に対して図書館の利用を可能とするなど、情報へのアクセスを提供しているが、インターネットアクセスの保護に関する文言が含まれている契約・方針を提示した大学はほとんどなかった。言論・集会・宗教の自由のうち、少なくとも1つに対する保護を示唆する文言が含まれている大学方針は、約半数であった。一方、③に関しては、学問の自由に関しては全般的には確保できているが、インターネット検閲を含む制限を体験していることが明らかになった。大学運営者は、カリキュラム内容に対する統制があると回答し、教員及び学生は、中国政府が選んだ内容の教授・学習が可能と回答している。インターネット検閲のない大学は、GAOが調査した大学では半数以下であった。具体的には、天安門事件や中国と台湾の関係に関する内容は授業では取り扱われていない。なお、GAOは、本報告書内では提案事項を提示しておらず、教育省(Department of Education)及び国務省(Department of State)は同報告書にコメントしていない。

 

本報告書は、以下よりダウンロード可能。
Government Accountability Office:China: U.S. Universities in China Emphasize Academic Freedom but Face Internet Censorship and Other Challenges[PDF:4.7MB]

 

Government Accountability Office:China: U.S. Universities in China Emphasize Academic Freedom but Face Internet Censorship and Other Challenges

地域 アジア・オセアニア、北米
アメリカ、中国
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価