【ニュース・アメリカ】EPA、化学薬品の安全性評価のために実施する動物実験及び動物実験への助成を2035年までに廃止(9月10日)

環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)は9月10日、哺乳動物を使用する研究の実施及び同研究への助成支給を、2035年までに廃止することを発表した。これに対し、動物保護活動グループ「白衣浪費プロジェクト(White Coat Waste Project)」擁護・公共政策担当副会長のジャスティン・グッドマン(Justin Goodman)氏は、EPAの決定は、納税者・動物・環境の全てにとっての勝利とし、動物実験は信頼性がなく、誤解を招く税金の無駄遣いとコメントした。一方、環境保護団体「天然資源保護委員会(Natural Resources Defense Council)」上級科学者のジェニファー・サス(Jennifer Sass)氏は、非常に残念で苛立たしいと発言し、動物実験の停止により、危険な化学薬品の環境及び消費者製品への侵入を許すことになるとした。
 
EPAは、化学薬品の安全性を評価するために動物実験を行っているが、化学薬品会社は、自社で高額費用を負担し、長期間を要する動物実験の実施に抗議してきた他、動物擁護組織は、コンピュータプログラムや生体機能チップ技術などを利用して、動物を使用しないモデルへの移行を要求していた。また、「毒性薬物管理法(Toxic Substances Control Act:TSCA)」を修正する「ローテンバーグ化学薬品安全法(Lautenberg Chemical Safety Act)」が2016年に可決され、動物実験の停止がEPAに要求されていた。EPAのアンドリュー・ウィーラー(Andrew Wheeler)長官は、動物試験の段階的終了計画の概要を、2019年6月に内部メモで通達していた。
 
さらに、ウィーラー長官は、ジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University、メリーランド州)、バンダービルト大学(Vanderbilt University、テネシー州)、バンダービルト大学メディカルセンター(Vanderbilt University Medical Center、テネシー州)、オレゴン州立大学(Oregon State University)、及び、カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California, Riverside)の5大学に対し、現行試験に代わる動物を使用しない代替策を開発するために、総額425万ドルを助成することを9月10日に発表している。
 

Science: U.S. EPA to eliminate all mammal testing by 2035

地域 北米
アメリカ
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