国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency:DARPA)は、鳥インフルエンザ(H7N9)・エボラ・ジカなどといった、動物や昆虫を起源とする病原体が変異を繰り返して人間に感染するようになった新しい感染症に関し、その根源に対処することによって衛生環境の良くない地域に派兵された兵士への感染を予防し、米軍によるこれらの感染症への準備度を高めるために、新たなプログラム「病原性脅威発生の予防(Preventing Emerging Pathogenic Threats:PREEMPT)」を立ち上げた。
「PREEMPT」プログラムには、①ヒト病原体の差し迫った発生及び再発生を数量化するためのマルチスケールモデル及び試験ベッドの開発と、②病原体の漏出及び動物・媒体生物から人間への感染を予防するための新たな拡大可能なアプローチの開発、という2つの技術的目的が設けられている。
研究の中心となるのは、種内でウィルスが進化する過程の理解で、このため、危険な変異を妨害するために活用可能な自然による障害を解明し、別の種に感染させる要因のモデル作成を通して介入機会を特定することになる。
研究者は、
- 世界中の高リスク地域における動物・昆虫の種の現地調査の実施、
- 研究室での試験を通したデータ作成とウィルスの進化に伴う遺伝子配列解読、
- 過去に起こった別の種への感染要因からそのリスクの分析、
- 擬似自然環境を使用したモデルの検証、
などを行うことになる。
「PREEMPT」のプログラム期間は3.5年で、DARPAは、ウィルス適応性の特徴と別の種への感染の可能性の特定、リスク分類子の開発とウィルス適応の経路の予測、及び、初期介入アプローチの試験を行うことを目指し、プログラム終了までには、管理された実験室条件下で、新しい種へのウィルス感染抑制を実証することを目指している。
2018年1月4日
Defense Advanced Research Projects Agency:Going to the Source to Prevent Viral Disease Outbreaks