【ニュース・アメリカ】ACE会長、CARES法の下での高等教育支援額は不十分との見解を表明

 
 米国教育審議会(American Council on Education:ACE)会長のテッド・ミッチェル(Ted Mitchell)氏は、新型コロナウィルス「COVID-19」感染拡大による影響への救済策として約2兆ドルを拠出することを定めた「コロナウィルス支援・救済・経済安全保障法(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security (CARES) Act)」が3月27日に法制化されたことに関し、大学に対して規制面での柔軟性が与えられたことなど、一部については評価する一方で、高等教育への拠出額が約140億ドルであることについては、全く不十分であるとの見解を表明した。CARES法は、教育省(Department of Education)に教育安定化基金(Education Stabilization Fund)として307億5,000万ドルを割り当てており、同基金は、

  1. 高等教育支援約140億ドル、
  2. 初等・中等教育支援約130億ドル、
  3. 学童・青少年・若年青年層の人数に応じた州政府支援約30億ドル、

の3つに分けられている。このうち、高等教育機関支援総額の50%に相当する約70億ドルは、学生の直接緊急支援として使用することが大学に義務付けられている他、7.5%(約10億ドル)をマイノリティ受入大学、2.5%(3億4,900万ドル)を特にウィルス感染拡大の影響を大きく受けた大学への助成用に確保している。

 
 また、各大学への割当額は、全体の75%(約94億ドル)を低所得層学生向け連邦奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」受給フルタイム学生在籍数に基づいて分配し、残りの25%(約32億ドル)を同奨学金非受給フルタイム学生在籍数に基づいて計算することになる。

 
 なお、この学生数には、ウィルス感染拡大前からオンライン講座のみを受講していた学生を含まない。CARES法が定める、その他の高等教育関連条項は以下の通り。

  • 「COVID-19」関連研究資金として、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)に9億4,500万ドル、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)に7,500万ドル、米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)に6,000万ドルを割当。
  • 教育機会補助的助成(Supplementary Educational Opportunity Grant:SEOG)や連邦ワークスタディ(Federal Work-Study:FWS)プログラムの下での学生への支払いなどに関して、柔軟に対応できる権限を大学に付与。
  • 連邦直接学資ローン利用者の返済義務を2020年9月まで一時停止。また、利息の支払いを一時凍結する他、返済滞納者に対する給与・社会保障給付金・税還付の差し押さえを一時停止。

 

なお、教育安定化基金に関する詳細は、こちらからダウンロード可能。
 

3月30日
 


American Council on Education: 
Coronavirus Stimulus Bill Allocates $14 Billion to Higher Education; Higher Education Community Says More Is Needed

地域 北米
アメリカ
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