米国政府は2019年3月11日、総額4兆7,000億ドルの2020年度大統領予算案を発表した。本予算案は、2019年度と比較して、国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）予算13％削減及び米国科学財団（National Science Foundation）予算12％削減を含め、3年連続で科学関連省庁予算の大幅削減を要求するものとなった一方で、軍事予算を大幅に増加している。
 
人工知能（AI）、量子情報科学、無線5G通信、及び、先進製造の4つを優先事項として、AI開発に8億5,000万ドル、量子科学に4億3,000万ドルをそれぞれ割り当てているものの、研究開発費総額は1,340億ドルで、2019年度の1,515億ドルから11％減となる。
 
大統領府科学技術政策局（White House Office of Science and Technology Policy：OSTP）のケルビン・ドローゲマイヤー（Kelvin Droegemeier）長官は、大統領予算案に関し、有効性が証明された高インパクトプログラムを優先した責任ある支出を促進するものとコメントしている。
 
主要科学関連省庁の大統領予算要求は以下の通り。

• NIH：2019年度から50億ドル減（13％減）の344億ドル。
• 米航空宇宙局（National Aeronautics and Space Administration：NASA）：2019年度比で全体では2.2％減、科学プログラム予算は約8％減。
• NSF：2019年度から約10億ドル減（12％減）の71億ドル。
• エネルギー省（Department of Energy）：科学局（Office of Science）予算は2019年度から約17％減の55億ドル。エネルギー効率・再生可能エネルギー局（Office of Energy Efficiency and Renewable Energy）予算は2019年度の23億7,900万ドルから86％減の3億4,300万ドル。また、エネルギー高等研究計画局（Advanced Research Projects Agency- Energy：ARPA-E）の廃止を再度提案。
• 環境保護庁（Environmental Protection Agency：EPA）：2019年度の88億ドルから約30％減の61億ドル。気候研究プログラムの中止を再度提案。
• 米国標準技術局（National Institute of Standards and Technology：NIST）：2019年度の9億8,600万ドルから30％減の6億8,800万ドル。
• 国勢調査局（Census Bureau）：2020年4月に実施する10年に一度の国勢調査予算として72億ドルを割当。

 
なお、2020年度大統領予算案は、「A BUDGET FOR A Better America – PROMISES KEPT. TAXPAYERS FIRST.」(PDF:1.99MB）からダウンロード可能。
 
2019年3月11日
 
Science：Trump once again requests deep cuts in U.S. science spending