【ニュース・アメリカ】2017年秋学期に米国大学院に出願・入学した留学生数、2003年秋学期以降初めて減少

 
米大学院協議会(Council of Graduate Schools:CGS)は2018年1月30日、2017年秋学期に向けて米国大学院に出願した留学生数と、同学期に実際に入学した新入留学生数に関する報告書「留学生大学院出願・入学状況 ~2017年秋学期~(International Graduate Applications and Enrollment: Fall 2017)」を発表した。
 
これによると、同学期に向けて米国大学院に出願した留学生数と実際に入学した新入留学生数は、いずれも2003年秋学期以降初めて減少したことが明らかにされた。減少が見られたのは主に修士課程及び修了証プログラムへの出願・入学者数で、出願者数は前年同期比4.8%減、入学者数は同2.8%減となった。
 
これに対し、博士課程に実際に入学した新入留学生数は、前年同期比1.8%増となっている。また、米国大学院に初めて入学する留学生の77%は、修士課程もしくは修了証プログラムに入学し、博士課程に入学する学生は全体の23%であることも明らかにされた。
 
米国移民法の変更により、特定国出身の米国学生ビザ保有者による米国入国及び再入国が禁止されたが、実際にこの影響を受けた学生の割合は比較的小さい一方で、新たな移民政策が、米国は留学生及び研究者らを歓迎する国という印象を損なう可能性が大きく懸念されている。
 
CGSのスザンヌ・オルテガ会長(Suzanne Ortega)は、米国大学院への出願者数及び新入留学生数の減少は懸念事項ではあるものの、合格率及び入学辞退率は前年とほぼ同じであることから、米国大学院に合格した留学生が実際に入学する割合は高い状態を維持できているとし、これは、大学・大学院が、留学生に対する歓迎・支援を保証するための取り組みを強化した成果とコメントしている。
 
主な結果は以下の通り。

  • 2017年秋学期の中東・アフリカ北部出身学生の出願者数は、前年同期比17%減で、2016年秋学期と2015年秋学期を比較した5%減から更に大幅に減少。一方、2017年秋学期の入学者数は、前年同期比5%減で、2016年秋学期と2015年秋学期を比較した11%減よりも減少率が緩やか。
  • 中東・アフリカ北部からの留学生の中では、イラン及びサウジアラビア出身者の割合が高いが、これら2国からの出願者数は、それぞれ18%減と21%減。
  • 大学院留学生の中で大きな割合を占めるのは、中国及びインド出身学生であるが、2017年秋学期に向けたインド人学生の出願数及び同学期の新入留学生数は、前年同期と比較して、それぞれ15%減と13%減。インド出身留学生の出願者数が減少したのは2012年秋学期以降初めて。
  • 2017年秋学期に向けた欧州出身学生の米国大学出願率は、前年同期比18%増であったが、実際に入学した新入生数は同1%増。2016年秋学期に入学した欧州出身の新入生数は、2015年秋学期と比較すると8%増であった。
  • 2017年秋学期に出願者・入学者数の多かった専攻分野は、前年同様にビジネス、工学、数学・コンピュータ科学の3分野。但し、工学プログラムに出願・入学した留学生数は、前年同期比10%減。

なお、本報告書は、「International Graduate Applications and Enrollment」(PDF:1.29MB)からダウンロード可能。
 
2018年1月30日
 
Council of Graduate Schools:For First Time in over a Decade, International Graduate Applications and Enrollments Decline at U.S. Institutions
 
Department of Education: U.S. Department of Education Personnel Announcement
 

地域 北米
アメリカ
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国際交流 国際化
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