米国科学財団（National Science Foundation：NSF）傘下機関である米国科学工学統計センター（National Center for Science and Engineering Statistics：NCSES）は2016年11月17日、高等教育機関における連邦助成受給研究に関する報告書「2015年度の大学に対する連邦研究開発助成は4年連続で減少（Universities Report Fourth Straight Year of Declining Federal R&D Funding in FY 2015）」を発表した。これによると、2011年度には、高等教育機関における研究開発（R&D）支出全体の62.5％は連邦政府助成であったが、2015年度には、R&D支出総額688億ドルのうち連邦政府助成は379億ドルで、全体の55.2％に減少していることが明らかにされた。これは前年度比1.7％減で、連邦政府助成の占める割合が最高であった2011年度と比較すると13％減となる。但し、連邦政府全体では助成額が減少しているにもかかわらず、国防総省（Department of Defense）、米航空宇宙局（National Aeronautics and Space Administration：NASA）、及び、農務省（Department of Agriculture）の3省庁からの助成額は増加していることが明らかにされた。それ以外の主要省庁による助成額は減少している。中でも、連邦政府の中で助成額が最大である厚生省（Department of Health and Human Services）は、2011年度の助成額が230億ドルであったのに対し、2015年度は200億ドルに減少した。それ以外の主要な結果は以下の通り。
- 2015年度に大学がR&Dに投入した自己資金は前年度比5.9％増、企業による支出は同7.5％増、非営利団体による支出は同6.9％増、寄付・海外などを含むその他の資金源によるものは同6.4％増。
- 連邦政府助成額は減少したものの、大学によるR&D総支出額は前年度比2.2％増。
- 高等教育R&D支出のうち、医科学（213億ドル）、生物科学（117億ドル）、及び、工学（111億ドル）の3分野での支出合計がR&D支出全体に占める割合は64.3％。
- 増額が見られた分野は、大気科学が前年度比14.7％増の5億7,600万ドル、天文学が同18.7％増の6億7,300万ドル、航空宇宙工学が同10.9％増の7億3,400万ドルなど。
なお、本報告書は、以下より閲覧可能。
National Science Foundation：Universities Report Fourth Straight Year of Declining Federal R&D Funding in FY 2015
National Science Foundation：Universities report four years of declining federal funding
