ピュー研究センター(Pew Research Center)は2018年5月10日、情報の自由法(Freedom of Information Act)の下で移民税関捜査局(Immigration and Customs Enforcement:ICE)から入手したデータの分析結果を発表した。
これによると、2004年~2016年の間に、米国大学を卒業した留学生約150万人が、オプショナル・プラクティカル・トレーニング(Optional Practical Training:OPT)プログラムの下で、卒業後の米国滞在・就労の許可を受け、その53%はSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)分野専攻者であったことが明らかになった。
また、2008年と2016年に発令された大統領令により、STEM分野の学位を保有する留学生に許可される就労期間が延長され、現在は、学位取得後最長36カ月間の就労が可能であるが、STEM分野の学位を取得してOPTに参加する留学生数は、2008年以降約400%増となっている。
その他の主な結果は以下の通り。
- 2004年~2016年のOPT参加者の中で、インド・中国・韓国出身留学生が全体に占める割合は57%。
- 2004年~2016年のOPT参加者の34%は、STEM分野での修士号取得者。
- 博士号取得後にOPTに参加した留学生の78%はSTEM分野専攻。また、修士号取得者では60%、学士号取得者では33%がSTEM分野専攻。
- 博士号取得後にOPTに参加した留学生の主要専攻分野は、工学(34%)、物理科学(16%)、生物化学・生物医科学(13%)など。また、修士号取得者では、工学(27%)、コンピュータ・情報科学(22%)、ビジネス・経営・マーケティング(22%)など。一方、学士号取得者では、ビジネス・経営・マーケティング(32%)、工学(12%)、社会科学(9%)など。
- 近年では、OPT資格取得者数が、一時労働ビザ(H-1B)取得者数を上回る。
- 2004年~2016年の間にOPTに参加した留学生の41%は私立大学を卒業(非営利:38%、営利:3%)。
- 2004年~2016年の間にOPT参加者を最も多く輩出した大学は、南カリフォルニア大学(University of Southern California、2万7,100人)、ニューヨーク大学(New York University、2万6,800人)、コロンビア大学(Columbia University、ニューヨーク州、2万2,600人)などで、上位は私立大学が占める。一方、公立大学では、ニューヨーク市立大学バルーク校(City University of New York’s Bernard M. Baruch College、1万8,500人)、ミシガン大学アナーバー校(University of Michigan at Ann Arbor、1万3,700人)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles:UCLA、1万3,600人)などが、多くのOPT参加者を輩出。
- OPT参加者が多数就労する都市圏は、ニューヨーク・ニューアーク・ジャージーシティ(21万8,400人)、ロサンゼルス・ロングビーチ・アナハイム(10万3,600人)、ボストン・ケンブリッジ・ニュートン(7万3,000人)など。
2018年5月10日
Pew Research Center:Number of Foreign College Students Staying and Working in U.S. After Graduation Surges