2018年6月12日、米国科学工学医学アカデミー（National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine）は高等教育機関の科学・工学・医学分野における女性に対する性的嫌がらせを検証した報告書「女性に対する性的嫌がらせ～大学科学・工学・医学分野における風潮・文化・影響～（Sexual Harassment of Women：Climate, Culture, and Consequences in Academic Sciences, Engineering, and Medicine）」を発表した。
本報告書によると、性的嫌がらせは研究の公正性に顕著な悪影響を与え、当該学術分野における多大な才能の喪失に繋がると結論付け、性的嫌がらせの予防及び有効な対応のためには、高等教育の文化・風潮に対するシステム全体での変化が必要と指摘し、研究の公正性への影響という点において、性的嫌がらせを研究における不正行動と同程度に重視することを強く要請している。また、大学及び政府省庁は法的に定められた最低限のコンプライアンスだけではなく、性的嫌がらせ問題に対応するために、総合的な証拠に基づく方針を導入すべきと提案している。さらに、連邦議会・州議会に対しても、和解協議における秘密保持の禁止や、容疑者に対する直接提訴の容認などを含む措置を検討するよう要請している。
- 高等教育機関の科学・工学・医学分野では、性的嫌がらせが日常的に発生。
- 職場における性的嫌がらせを生み出す最大の要因は、組織の風潮。
- 最も一般的な性的嫌がらせの形態は、性別を理由ともの（ジェンダーハラスメント）。
- 女性が性的嫌がらせを受けた時に最も起こりにくい対応は、正式な報告。
- 性的嫌がらせは、女性の専門的・教育的功績と精神的・身体的健康を攻撃・弱体化。
- 性的嫌がらせに関する研修は、行動の変化に繋がっていない。
なお、本報告書は、以下より閲覧可能。
National Academies Press：Sexual Harassment of Women：Climate, Culture, and Consequences in Academic Sciences, Engineering, and Medicine
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine：To Prevent Sexual Harassment, Academic Institutions Should Go Beyond Legal Compliance to Promote a Change in Culture；Current Approaches Have Not Led to Decline in Harassment
