米国研究所(American Institutes for Research:AIR)とエデュベンチャーズ(Eduventures)社は、高等教育機関における能力に基づく教育(Competency-based Education:CBE)の現状に関する調査結果をまとめた報告書「能力に基づく高等教育に関する全米調査(National Survey of Postsecondary Competency-Based Education)」を発表した。本調査は、ルミナ財団(Lumina Foundation)とソフトウェア・高等教育サービス企業のエルーシアン(Ellucian)社の資金提供を受けて2018年に行われたものである。
研究大学・営利大学・コミュニティカレッジなどを含む高等教育機関501校からの回答を分析した結果、大学57校が能力に基づいて資格取得が可能な講座を最低1件提供しており、プログラム数は合計512件で、うち、学士課程レベルが427件、大学院レベルが85件であることが判明した。これに加えて、430校がCBE導入に関心がある、もしくは、プログラムを作成中であると回答しており、導入傾向は緩やかであることが明らかになった。
また、CBEプログラムを提供、もしくは、プログラムのコア要素として導入する過程にあると回答した大学の内訳は、52%は公立大学、42%非営利私立大学、5%は営利大学であった。
但し、CBEプログラムの厳密な定義は難しく、統一されていないが、本報告書では、
- ①受講時間数ではなく能力を判断基準として評価する学習プログラム、
- ②上級コースに進むためには要件とされる能力を全て習得することが必要なプログラム、
- ③学生が主に自分のペースで取り組むプログラム、
の少なくとも1つを導入したものをCBEとして取り扱っている。
さらに、CBE導入の最大の障壁として、連邦学資援助規則、大学における手続き、及び、立ち上げ時に必要となるコストなどを挙げている。
なお、本報告書は、『Findings from the 2018 National Survey of Postsecondary Competency-Based Education (NSPCBE) 』[PDF:2.26MB]からダウンロード可能。
2019年1月28日
Inside Higher ED:Slow and Steady for Competency-Based Education