【ニュース・アメリカ】高等教育を通した経済的流動性、経済的健全性だけでなく人種も影響

 
高等教育政策研究所ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団は5月12日、大学学位もしくは修了証を取得した学生の卒業後の収入、学資ローン負債返済能力、学位・修了証取得による収入増加度を示す収入プレミアム、大学卒業後の経済的流動性などといった、高等教育による経済的成果を検証した報告書「公平な価値:高等教育を通した経済的流動性と社会的正義の促進」を発表した。

 
本報告書は、人種差別や新型コロナウイルス感染症パンデミックにおける不均衡な影響などといった社会経済的現実も内容に反映している。また、同報告書は、①高等教育の価値の定義、②高等教育が学生・社会に提供できる明確な付加価値、③マイノリティ学生、低所得層学生、女子学生が、高等教育から公平な利益を受けて経済・社会的流動性を達成することを妨げる体系的障壁に対応するために、大学及び連邦・州政府が実行すべき政策・実務を概説した行動指針、という3つを柱とし、米国高等教育システムの改革に向けた平等な価値の促進を目指して作成された。
 
主な結果は以下の通り。

  • 黒人・ラテン系学生は、私立大学よりも公立大学に進学する可能性が高い。また、私立大学に進学した学生の場合、非営利大学進学者が卒業する確率が営利大学進学者を上回るが、卒業者数は比較的少数。学資ローン返済不履行率は、私立大学進学者が公立大学進学者を上回る。
  •  

  • 低所得層家庭の学生の場合、4年制大学1年分の学費が世帯当たり年収の157%に相当。一方、高所得層家庭の学生の場合は同14%に相当。
  •  

  • 非白人学生及び低所得層学生は、営利大学もしくは資金が不十分な2年制大学に集中し、卒業に必要な支援の利用可能性が不十分であるために卒業率が低い。また、卒業後の投資回収は早期にできるものの平均生涯収入の低い修了証・準学士号プログラムへの参加者が多い。
  •  

  • 大学進学者の経済的流動性には人種も大きく影響。
  •  

  • 大学に進学したものの卒業しなかった黒人学資ローン利用者の55%はローン返済不履行に陥り、その後の生活に深刻な経済的悪影響。
  •  

  • 大学卒業者である黒人が世帯主の家庭の収入は、高校中退者である白人が世帯主の家庭の収入を顕著に下回る。

なお、本報告書は、こちら からダウンロード可能。

 
5月12日


Inside Higher ED: Redefining ‘Value’ in Higher Education


地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
統計、データ 統計・データ