【ニュース・アメリカ】非営利私立大学の財務状況、大半の認識よりも健全

独立大学協議会(Council of Independent Colleges:CIC)は2017年8月14日、非営利私立大学の財務状況の健全性を検証した報告書「独立大学の財務回復力(The Financial Resilience of Independent Colleges and Universities)」を発表した。

 

本報告書では、様々な規模・分類の米国大学559校に関し、2000~01年度から2013~14年度の14年間に亘る、国税庁(Internal Revenue Service:IRS)及び教育省(Department of Education)統合高等教育データシステム(Integrated Postsecondary Education Data System)などの財務データを使用して、①資金の充足度を測定する一時的準備資産率、②負債管理状況を測定する生存率、③大学基金と投資利益率の実績を測定する対純資産利益率、④運用剰余・欠損金を測定する純運用収入率、などといった、高等教育機関の財務状況を分析する複数の主要財務実績基準を算出している。

 

これによると、約10年以内に米国大学の約半数は閉鎖もしくは破産するという、ハーバード・ビジネススクール(Harvard Business School)教授のクレイトン・クリステンセン(Clayton Christensen)氏による予測に反し、全ての種類・規模の独立大学は、財務的に健全な状態になることが可能であることが提示されている。また、在籍学生数1,000人未満という非常に小規模な私立大学は、大規模な大学と比較すると財務実績は弱いものの、カーネギー分類で「学士課程芸術科学大学」に分類されるグループに関しては、非営利私立大学の財務基準値が他の種類の大学を上回っていることが判明した。その他の主な結果は以下の通り。

  • 一時的準備資産率の中央値は、景気後退のあった2008~09年度に財務的健全性の基準値を下回ったが、翌年度に基準値以上に回復。
  • 生存率の中央値は、2000~01年度以降は十分な支出可能資金の基準値に到達したことがないものの、景気後退で最低値となった2008~09年度からは回復傾向。
  • 対純資産利益率の中央値は、2012~13年度及び2013~14年度は健全性の基準値を上回っているが、2014~15年度及び2015~16年度は基準値を下回るとする別データが存在。
  • 純運用収入率の中央値は、2012~13年度及び2013~14年度は健全性の基準値を上回る。

なお、本報告書は、以下よりダウンロード可能。
THE COUNCIL OF INDEPENDENT COLLEGES:The Financial Resilience of Independent Colleges and Universities[PDF:3.3MB]

 

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