【ニュース・アメリカ】連邦学資ローン利用者による返済プラン選択に関する意思決定、デフォルトオプションの影響力が最大

 
ジョージア州立大学(Georgia State University)のジェームス・コックス(James Cox)氏及びダニエル・クライスマン(Daniel Kreisman)氏とミシガン大学(University of Michigan)のスーザン・ダイナースキ(Susan Dynarski)氏は、連邦学資ローンの返済プランに関する研究結果をまとめた論文「失敗に向けた計画 ~学資ローン返済におけるデフォルトオプション及び情報の複雑性による影響~(Designed to Fail: Effects of the Default Option and Information Complexity on Student Loan Repayment)」を発表した。
 
コックス氏らは、教育省(Department of Education)の学資ローン終了カウンセリング(Student Loan Exit Counseling)ウェブサイトと全く同じサイトを複製し、デフォルトオプションの存在、将来の収入に関する不正確な情報、及び、情報の複雑さなどが、ローン利用者の意思決定に及ぼす影響を調査した結果、連邦学資ローン利用者に対し自動的にデフォルトとして提示される10年間の標準返済プランが、ローン利用者の選択に大きな影響を与えることが判明した。
 
また、

  1. デフォルトオプションを10年間の標準返済プランから「収入に応じた修正返済(Revised Pay As You Earn:REPAYE)」プランに変更、
  2. 将来の収入に関する情報提供手段を変更、
  3. 情報の複雑性を緩和、

の3つを実験的に行った結果、デフォルトオプションの変更がローン利用者の選択に最も大きな影響を与えたという。
 
過去の研究においても、標準プラン利用者の大半は、収入に基づく返済(income-driven repayment:IDR)プランの利用対象者であるにもかかわらず、同プランが十分に活用されていないことが明らかにされているが、コックス氏らは、IDRプラン利用者数を増加させるには、同プランをデフォルトオプションに設定することが最も効果的としている。
 
さらに、IDRプランの説明の一部を修正することにより、同プランの利用者数増加に繋がることも判明したとしている。
 
2018年11月21日
 
National Association of Student Financial Aid Administrators:Study:Standard Option for Student Loan Repayment Sets Borrowers Up for Failure

地域 北米
アメリカ
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