【ニュース・アメリカ】規模の大きい米国公立大学100校のうち、在籍学生の自殺者に関する統計調査結果を記録する大学は半分以下

 
AP通信社(Associated Press:AP)は、学生の精神衛生ケア向上に取り組む大学が増加する中で、規模の大きい米国公立大学100校を対象に、在籍学生の自殺に関する年間統計調査状況を調べた結果、現在、自殺者の統計調査結果を記録している大学は100校中46校で、このうち27校は、2007年以降、継続して記録を残していることが明らかにされた。
 
一方、残りの54校のうち、43校は自殺に関する年間統計調査を行っていないと回答し、9校は、一部のデータのみ提供、もしくは、記録の継続性に関する質問には未回答で、2校は統計結果を提供しなかった。
 
学生の自殺に関する調査を行っていないと回答した大学には、アリゾナ州立大学(Arizona State University)及びウィスコンシン大学(University of Wisconsin)が含まれるが、これらの大学は、いずれも近年に、在籍学生の自殺がニュースで報道されており、特にアリゾナ州立大学では、2017年に少なくとも2人の学生が自殺している。
 
一方、ウィスコンシン大学マディソン校は、学生による死因を記録するデータベース作成の最終段階にあるとしている。この他、ペンシルバニア州立大学(Pennsylvania State University)大学精神衛生センター(Center for Collegiate Mental Health:CCMH)が発表した2016年の年次調査報告書によると、大学生の間で不安神経症及びうつ病を訴える学生の割合が増加しているという。
 
但し、AP通信社の調査でデータを記録していると回答した大学も、学生10万人あたりの自殺者数が0.27~8人となっており、あまりに割合の低い大学に関しては、信憑性が疑わしいとしている他、家族の意向などにより、データ収集が困難な状況もある。
 
とはいえ、クレムゾン大学(Clemson University、サウスカロライナ州)のように、2015年からデータ収集を開始したことで、他大学からの編入生の自殺率が増加していることが判明し、編入生と大学サービスとを結び付ける取り組みを強化するなどといった例もあり、データ収集による効果があることも明らかにされている。
 
2018年1月2日
 
AP:Most big public colleges don’t track suicides, AP finds
 

地域 北米
アメリカ
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