【ニュース・アメリカ】経済状態・人種間での学歴格差をなくした場合、非金銭的利益に加えて年間9,560億ドルの公益創出が可能

 
ジョージタウン大学 教育労働力センター(CEW)は5月12日、報告書「高等教育における経済・人種的不平等のコスト」を発表した。本報告書は、米国がより公平な高等教育システムを達成するために3兆9,700億ドルを初期投資した場合、様々な非金銭的利益に加えて、年間9,560億ドルの公益創出が可能と主張している。学歴向上に伴う非金銭的利益の例には、批判的思考能力の向上、積極的な社会参画、権威主義への依存軽減、健全性の向上、方向性の多様化などを挙げている。

 
米国教育システムは、依然として人種・経済的不平等という問題が根強く、例えば、年収上位60%に入る米国人の57%は準学士号以上の学歴を保有しているが、人種別で見ると、白人成人の46%とアジア系成人の64%が準学士号以上の学位を保有するのに対し、ラテン系成人では21%、黒人成人では31%にとどまるという。CEW が、高等教育の価値委員会との提携の下で、人種・経済状態・性別による格差に対して学歴向上が与える影響を検証した結果は以下の通り。

  • 経済状態及び人種間での学歴格差をなくした場合、準学士号以上の学位を保有する成人の割合は現状から18ポイント増加。
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  • 準学士号以上の学位保有者数の変化を人種別に見ると、低所得層白人1,290万人増、ラテン系1,020万人増、黒人590万人増、アジア系49万8,000人増、先住民・太平洋諸国系46万2,000人増、その他の人種45万7,000人増。
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  • 年収下位40%の大学生における学資ローン利用の必要性をなくす場合、初期投資にさらに2兆200億ドルが必要となり、税金による初期投資額は総額5兆9,900億ドル。但し、低所得層学位保有者によるローン返済が不必要となり、国内総生産は年間2,220億ドル増加。
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  • 学歴を平等化することで、新規学位保有者による個人収入が年間合計1兆300億ドル増加し、収入格差を大幅に縮小。
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  • 年間9,560億ドルの公益の内訳は、①高等教育学歴取得による収入増に伴う税収3,080億ドル増、②購買力向上に伴う国内総生産5,420億ドル増、③学歴向上に伴う犯罪率低下により刑事司法コストを138億ドル節約、④学歴向上に伴い公衆衛生支出を587億ドル節約、⑤学歴向上に伴い連邦公的扶助の必要性が低下して337億ドル節約。

なお、本報告書は、こちら からダウンロード可能。

 
5月12日


Georgetown University: 
US Loses $956 Billion Every Year Due to Economic and Racial Inequality in Education, Georgetown University Report Say


地域 北米
アメリカ
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統計、データ 統計・データ