【ニュース・アメリカ】米国高等教育関係者、特定国からの入国禁止を定めた大統領令を支持する最高裁判決に対し、批判と懸念を表明

2018年6月26日、米国連邦最高裁判所(U.S. Supreme Court)は特定の国の出身者について入国禁止とする大統領令に関し、5対4で合憲との判断を示した。判決文の中でジョン・ロバーツ(John G. Roberts)首席判事は、同入国禁止令は、大統領による移民・国家安全保障関連の行政権限の範囲内との解釈を示した。

 

最高裁によるこの判決を受け、米国高等教育関係者は、トランプ政権下の米国は外部からの来訪者を歓迎しないという認識を確固たるものにしたとして、批判と懸念を表明している。
NAFSA国際教育者協会(NAFSA:Association of International Educators)公共政策担当エグゼクティブディレクター代理のジル・ウェルチ(Jill Welch)氏は、米国は海外からの来訪者に関し、何をしたかではなくどこの出身かに基づいて入国を禁止する国として見られることになったとの声明を発表している。また、同大統領令の下での入国禁止令に反対するソニア・ソトマヨール最高裁判事(Sonia M. Sotomayor)は、政府による明らかな差別的政策を裁判所が盲目に容認することになるとの異議を表明した。

 

大統領の入国禁止令による影響を直接受けた留学生は、実際には110万人中2%未満とされているが、マサチューセッツ大学アマースト校(University of Massachusetts at Amherst)の留学生・国際研究者サービスディレクターのケネス・リード(Kenneth Reade)氏によると、同大学の留学生の多くは米国再入国時に問題が生じることを危惧しており、たとえ冠婚葬祭行事であっても国外旅行を回避しているという。さらに、留学マーケティング企業のインテッド社(Intead)が行った最近の調査によると、中国人留学生の親の4分の3において、トランプ大統領を理由として米国留学に対する関心が低くなっているという。この他、ウェイン州立大学(Wayne State University、ミシガン州)では、2017年秋学期の留学生在籍数が前年同期比15%減となっており、この背景には、心理的な影響があるとみられている。

 

なお、NAFSAのウェルチ氏が発表した声明は、以下より閲覧可能。
NAFSA:Association of International Educators:America Must Rise Above Racism and Xenophobia

 

The Chronicle of Higher Education:In Upholding Trump’s Travel Ban, Supreme Court Ratifies Worldview That Worries Colleges

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
国際交流 国際化