大学進学準備標準試験「ACT」を運営する非営利機関の ACT は、米国高校における成績のかさ上げに関する報告書「成績のかさ上げは過去10年間で継続して拡大」を発表した。これによると、12年生の成績平均点(GPA)平均値は、2010年に3.17であったものが2021年には3.36に0.19ポイント増加しており、かさ上げ度が最も高い時期は2018年から2021年の間であった。
ACT CEO のジャネット・ゴッドウィン氏は、成績のかさ上げは実際に広く蔓延しており、学生の能力の判断基準としての成績証明書の価値を下げるものと懸念を表明し、本調査結果は、成績のかさ上げが持続的且つ広く浸透した問題で、クラス内・学区・州のいずれのレベルにおいても共通するものであることを示しているとコメントした。
特に、成績のかさ上げが顕著になったのは2020年と2021年で、これらの変化を新型コロナウイルス感染症パンデミックに直接関連付けることは困難としながら、米国高校におけるパンデミック中の成績評価基準の変化が影響した可能性があると分析されている。但し、成績のかさ上げ傾向はパンデミック前から見られていたもので、標準試験結果が横ばいもしくは低下している年であっても、GPA 平均値は2010年~2021年の間に着実に増加している。その他の主な結果は以下の通り。
- 成績のかさ上げは、ACT 試験で総合得点の高い学生よりも低い学生に主に見られる問題。また、高所得世帯よりも低・中所得世帯の生徒において高い割合である傾向。
- 白人と比較して、黒人学生に成績のかさ上げが多くみられる傾向。
- 給食費無料・減額の生徒が占める割合の高い高校において、成績のかさ上げがより多く見られる傾向。
- 過去10年間を通してみると、非白人生徒数の少ない学校の方が、非白人生徒数の多い学校よりも高い割合で成績のかさ上げが見られる傾向。
なお、本報告書は、こちら からダウンロード可能。
5月16日
ACT: Grade Inflation a Systemic Problem in US High Schools, ACT Report Shows
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