【ニュース・アメリカ】米国芸術科学アカデミー、人文科学専攻大卒者、収入・仕事への満足度は高いという調査結果 職がなく不幸との通説に反論

 
米国芸術科学アカデミー(American Academy of Arts & Sciences)は2018年2月7日、米国国勢調査(U.S. Census)を含む連邦政府調査結果及び、ギャラップ社(Gallup) による全米の労働者を対象とした調査結果に基づく報告書「2018年人文科学の現状 ~卒業生の就労及びその後~(The State Of The Humanities 2018: Graduates In The Workforce & Beyond)」を発表した。
 
本報告書は、人文科学系分野専攻の卒業生は、職がなく不幸とする通説に反論するもので、工学・自然科学専攻の大卒者が人文科学専攻大卒者よりも平均年収が高いことは否定していないものの、人文科学専攻者は権限のある職業に就き、十分な収入があると考えている者の割合は工学・自然科学専攻者を僅かに下回るだけで、仕事への満足度はSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)専攻者とほぼ同じとしている。
 
具体的には、2015年の人文科学系学士号保有者の平均年収は5万2,000ドルで、全学士号保有者の平均年収6万ドル、工学系学士号保有者の平均年収8万2,000ドルを下回るが、格差は縮小されつつあるという。
 
その他の主な結果は以下の通り。

  • 人文科学系学士号保有者の約87%は仕事に満足しており、他の専攻分野の学士号保有者とほぼ同じ割合で、人文科学系修士号以上の学位保有者では90%が仕事に満足。
  • 2015年に失業していた人文科学系学士号保有者は全体の4.3%で、上級学位保有者では3%未満。
  • 就職している人文科学専攻大卒者の60%は、管理職もしくは部下を持つ職種に就いており、他の分野専攻の大卒者とほぼ同じ割合。
  • 自身の仕事に深く関心を持つ人文科学専攻大卒者の割合は、ビジネス及び社会科学専攻者を僅かに上回り、工学専攻者を僅かに下回る程度。
  • 「職場において、自分が得意とすることに毎日取り組む機会がある」とする人文科学専攻大卒者の割合は、工学専攻大卒者の割合を上回る。
  • 2014年に自身の仕事は学位に密接に関連していると回答した人文科学系学士号保有者は全体の30%のみで、3分の1以上は学位と関係のない仕事と回答。これに対し、教育・ビジネス・自然科学系学士号保有者では、仕事と学位が密接に関連していると回答した学生の割合が高い。

なお、本報告書は、「THE STATE OF THE HUMANITIES 2018:GRADUATES IN THE WORKFORCE & BEYOND」(PDF:1.72MB)からダウンロード可能。

 

2018年2月7日
 
Inside Higher ED:Shocker: Humanities Grads Gainfully Employed and Happy
 

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