【ニュース・アメリカ】米国移民グループの大半、高学歴傾向にあるとの調査結果

 
テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)経済学教授のスティーブン・トレホ氏(Stephen Trejo)らは、米国への移民グループ及びその子孫の学歴に関する研究調査報告書「米国移民グループの長期に亘る社会経済的統合 ~二世以降~(Socioeconomic Integration of U.S. Immigrant Groups over the Long Term: The Second Generation and Beyond)」を発表した。
 
本報告書は、国勢調査局(Census Department)及び労働統計局(Bureau of Labor Statistics)が2003年~2016年に実施した、毎月の調査データに基づくもので、これによると、米国への移民は元々高学歴であること、また、米国で出生した移民の子どもは、米国人平均以上の学歴を保有するケースが大半であるとしている。
 
一方、米国移民の中で最大の割合を占めるメキシコからの移民グループのみが、この傾向には当てはまらないという。但し、トレホ氏は、自身の父が、メキシコからの移民の子どもとして米国で生まれ、家族で初めて大学に進学し、欧州系の祖先をもつユダヤ系米国人である母と結婚して自身が生まれたという背景から、異人種間婚姻に伴い、メキシコ人の子孫でありながら自身をヒスパニック系と形容しない場合が考えられるとし、実際には、メキシコからの移民グループの子孫の学歴は、調査結果以上に高い可能性があるともコメントしている。
 
主な結果は以下の通り。

  • ヒスパニック系以外の白人米国人男性の平均在学年数は13.8年であるのに対し、アフリカからの移民男性は14.4年、同女性は13.6年、欧州からの移民男性は14.5年。また、少なくとも片方の親がアフリカ出身移民である米国出生の男性の在学年数は平均14.7年で、同女性では15年。
  • ハイチからの移民の在学年数は12.8年で、白人米国人男性を下回るが、米国出生の子どもの世代では、男性の平均在学年数は14.1年で、女性は14.8年。
  • インドからの移民の平均在学年数は全ての移民グループの中で最も高く、男性が16.3年で、女性が16年。中国からの移民男性の平均在学年生は14.9年。その他のアジアからの移民グループ(フィリピン、ベトナムなど)では、移民一世の平均在学年数は米国人平均を下回るものの、米国出生の二世は米国人平均を上回る。
  • ヒスパニック系移民のうち、南米・キューバからの移民は低学歴であるものの、米国出生の二世が米国平均を上回る。これに対し、メキシコ及び中米・ドミニカ共和国からの移民は、平均在学年数10年未満で、米国出生の二世は男性12.7年、女性12.9年に増加するものの、米国人平均を下回る。

 

2018年3月19日
 
The Hechinger Report:Most immigrants outpace Americans when it comes to education — with one big exception
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
レポート 海外センター