新型コロナウイルス感染症対策を主導する政策決定者と社会科学・行動科学研究者を繋ぐために編成された米国科学工学医学アカデミー(National
Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)の社会専門家行動ネットワーク(Societal Experts Action Network:SEAN)は6月11日、
政策決定者のコミュニティ内での感染状況を理解するために、入院者数・陽性確認件数などといった数値を使用してリーダーに指針を提供する手引書
「データの種類の評価 ~新型コロナウイルス感染症拡大の程度を理解するためにデータを使用した政策決定者向け手引書~(Evaluating Data Types:
A Guide for Decision Makers using Data to Understand the Extent and Spread of COVID-19)」を発表した。
本手引書は、政策決定者に対し、感染症データを検証する際には「代表性」「系統的過大・過小評価の可能性」「不確実性」「時期」「地理的地域」
の5つの基準について考慮すべきとしている。本手引きが提示する、新型コロナウイルス感染症対策に関連する数値7項目を政策決定の際に使用する
にあたっての長所・短所は以下の通り。
- 陽性確認件数:容易に入手可能である一方、人口あたりの患者数を大幅に過小評価する可能性あり。軽症患者・無症状者に検査を
拡大することにより有効性が向上。 - 入院者数:リアルタイムで入手可能である一方、日によって報告数が不均一。重症患者数のみを反映。
- 救急病院来訪者数:一部地域ではほぼリアルタイムで入手可能。感染拡大の初期段階で有効な情報。
- 新型コロナウイルス感染症による死亡確認報告数:報告時の数週間前の感染拡大状況を反映。
- 超過死亡:パンデミックによる死亡率への影響を表す最適な指標。但し、死因の分類ミスにより新型コロナウイルス感染症以外の
死因が含まれる可能性あり。 - ウイルス検査陽性率:幅広く使用されているものの、感染状況の指標としては望ましくない可能性あり。
- サンプル調査:職場・老人ホーム・留置所など特定グループにおける感染状況を理解するには最適な手段。
なお、本手引書は、こちらから閲覧可能。
6月11日
National Academies of Sciences: Engineering, and Medicine, National Academies Release COVID-19 Data Guide for Decision-Makers