米国科学工学医学アカデミー（National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine）は2018年4月12日、米国における次世代の科学者のために生物医学研究の強化を目的とした大幅な改革を提案する報告書「次世代の生物医学・行動科学研究者（The Next Generation of Biomedical and Behavioral Sciences Researchers）」を発表した。
 
本報告書は、科学者らが、疾病の斬新的且つ革新的な治療及び健康増進手段などを創出することができるようにするために、キャリア早期の科学者に対するアカデミア内外でのキャリアパス拡大や、将来の研究エコシステムのための公共・民間ステークホルダー間での取り組みの拡大などを提案している。
 
その一方で、増加する若年科学者に対して大学テニュアトラック職が不足していることや、過去の改革で取り上げられなかった問題がそのまま放置されていることなどといった問題点も指摘している。
 
これらの現状を受け、本報告書は、連邦議会に対し、

1. ①生物医学研究事業体に全般的指針を提供する公共・民間ステークホルダーのパートナーシップ「生物医学研究事業体審議会（Biomedical Research Enterprise Council：BREC）」の設立、
2. ②同報告書による国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）への提案事項の実行を支援するために、NIH予算の増額、
3. ③革新的パイロットプロジェクトを促進するためにNIHと協力、

を提案している。
 
一方、研究機関に対しては、

1. 生物医学・行動科学分野の博士課程学生・ポスドク研究者のアウトカム・人口動態・キャリア志望に関する総合的データの収集・分析・普及、
2. 全てのポスドク研究者を対象とした就職指導カウンセリングを促進するシステムの導入、
3. ポスドク研究者の大学教員メンターを対象としたNIHによる正式な研修の証拠提供、
4. 研究研修員の多様性・包括性促進のために、主任研究員（PI）が助成提案書において多様性・包括性計画を提出し、進捗状況報告の際に最新情報を提示、
5. 次世代研究者のために、より安定した教員以外の研究機会を提供する職員科学者数を増加させるためにNIHと協力、

を提案している
 
なお、本報告書は、「THE NEXT GENERATION OF BIOMEDICAL AND BEHAVIORAL SCIENCES RESEARCHERS Breaking Through」で閲覧可能。
 

2018年4月12日
 
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine：Report Recommends Reforms to Support Careers of Young Biomedical and Behavioral Scientists, Proposes Solutions to Barriers That Have Slowed Change So Far