【ニュース・アメリカ】米国科学工学医学アカデミー、継続した海洋観測の重要性を強調

 
米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は2017年10月20日、地球上の気候システムにとって不可欠な構成要素である海洋を観測する重要性に関する報告書「地球上での将来の気候変動を理解するための海洋観測の持続(Sustaining Ocean Observations to Understand Future Changes in Earth’s Climate)」を発表した。
 
本報告書は、継続的な海洋観測が気候の正確な理解において非常に重要となることを提示し、将来的な変化の理解・予測を目的とした、重要な海洋関連情報が利用可能な状態を確保するために、適切な予算割当・実行を伴う国家10年計画の必要性を主張している。
 
同報告書では、連邦政府は、持続的且つ組織的な海洋観測機会を提供しているものの、これらの機会を有効なものとするためには、協調的且つ高レベルのリーダーシップが必要と指摘している。また、海洋観測システムから受けられる利益として、気象予報、海洋資源管理、及び、海洋高校の改善などを挙げている。海洋観測活動の国際ネットワークに対する米国による貢献は大きく、地球レベルでの気候に関する理解の促進に役立っており、世界海洋観測システム(Global Ocean Observing System)の取り組みを主導している。
 
しかし、予算の据え置き・削減が米国のリーダーシップを危うくしており、また、海洋関連気候の長期的観測の維持を困難にしていることを指摘し、年次予算及び短期助成に依存する資金調達システムにより、海洋気候計測が不連続的なものとなり、過去及び将来の観測の価値が損われる可能性があると警告している。
 
さらに本報告書は、持続的観測に影響を与える問題として、新技術開発への投資減少、持続的海洋観測に関連する人材の保持・補充における問題増加、及び、世界・海洋規模での研究船の減少などを特定している。同報告書を作成した委員会は、農業・海運業・漁業・保険・エネルギー供給産業などのセクタを超えたパートナーシップの強化が、関与・協力を強化した有効なシステムに繋がると結論付けている。
 
なお、本報告書は、「Sustaining Ocean Observations to Understand Future Changes in Earth’s Climate」から閲覧可能。
 
2017年10月20日
 
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:U.S. Ocean Observation Critical to Understanding Climate Change, But Lacks Long-Term National Planning
 

地域 北米
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